...ああ神よ、爾(なんじ)は我らの有せざるものを請求せざるなり、余は余の有するだけの熱心を以て祈れり、しかして爾は余の愛するものを取去れり、父よ、余は信ず、我等の願うことを聴かれしに依(より)て爾を信ずるは易し、聴かれざるに依てなお一層爾に近づくは難し、後者は前者に勝(まさ)りて爾より特別の恩恵(めぐみ)を受けしものなるを、もし我の熱心にして爾の聴かざるが故に挫(くじ)けんものならば爾必ず我の祈祷を聴かれしならん...
内村鑑三 「基督信徒のなぐさめ」
...しからば宇宙人となりしにより余は余の国を忘れしか、ああ神よ、もしわれ日本国を忘れなば、わが右の手にその巧(たく)みを忘れしめよ、もし子たるものがその母を忘れ得るなれば余は余の国を忘れ得るなり、無理に離縁状を渡されし婦(ふ)はますますその夫(ふ)を慕うがごとく、捨てられし後は国を慕うはますます切なり、朝は送るに良人(りょうじん)なく、夕は向うるに恋人なく、今は孤独の身となりて、斉(ととの)うべきの家もなく、閑暇勝(がち)にて余所事(よそごと)に心を使い得るにもせよ、朝な夕なに他の女子がその良人(おっと)を労(いたわ)るを見て、我独り旧時の快を忘るべけんや、ああ神よ我が良人(おっと)をして恙(つつが)なからしめよ、彼の行路をして安からしめよ、今我は彼に着き纏(まと)い心を尽す能わずとも、もし我が祈祷だにして彼を保護するに力あらば、この賤婦の祈祷を受けて彼の歩行を導きたまえ、なおまたこの身にして彼のために要せらるるならば何時(いつ)なりとも爾(なんじ)の御意(みこころ)に委(まか)せ彼のために使用し賜え、この身は爾のものにして爾のために彼に与えしものなり、我に属せざるこの命(いのち)は彼のためには何時なりとも捧ぐべしとはすでに爾の前に誓いし処なり...
内村鑑三 「基督信徒のなぐさめ」
...ああ神よ、この試錬にして余のいまだ充分に爾(なんじ)を知らざる時に来りしならば余は全く爾の手より離れしならん、しかれども爾は余に堪ゆ能わざるの試錬を降(くだ)さず、教会は余が自立し得る時にあたって余を捨てたり、教会我を捨(すて)し時に爾は我を取り挙げたり、余の愛するもの去(さっ)て余はますます爾に近く、国人(こくじん)に捨てられて余は爾の懐(ふところ)にあり、教会に捨てられて余は爾の心を知れり...
内村鑑三 「基督信徒のなぐさめ」
...されどもああ神よ...
内村鑑三 「基督信徒のなぐさめ」
...ああ神よ余は教会を去(さっ)ても爾(なんじ)を去る能わざるなり...
内村鑑三 「基督信徒のなぐさめ」
...「ああ神よ、床にはうこの牛男が、奇蹟をもたらすといいたまうか」牛男というのは、酔っぱらいのリーロフ大佐のことだった...
海野十三 「太平洋魔城」
...早くキンメル提督(ていとく)に命令したがいいじゃないか」「キンメル提督? ああ神よ...
海野十三 「不沈軍艦の見本」
...ああ神よいとしき人と...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...ああ神よ!いとしきひとと...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...「ああ神よ!……神よ!……」そして咳の発作から発作へ移る短い間の時間に...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...ああ神よ、私が先づ、自分自身であれるやう日光と仕事とをお与へ下さい!(一九二九・一・二〇)...
中原中也 「寒い夜の自我像」
...――ああ神よ! こんなことは夢にも見なかった!」今やわけのわからぬ怖ろしい不審の念が音を立ててわたくしの全身に流れました...
西尾正 「墓場」
...ああ神よ もうとりかへすすべもないさうしてこんなむしばんだ囘想から いつも幼な兒のやうに泣いて居よう...
萩原朔太郎 「青猫」
...ああ神よ もうとりかへすすべもないさうしてこんなむしばんだ囘想から いつも幼な兒のやうに泣いてゐよう...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...ああ神よ! あんたは私が忍んでいる惨めさ苦しさを分かっているのに...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...ああ神よ...
平田晋策 「昭和遊撃隊」
...海のあやしい力でほかの子供を青い波間にひき入れるかも知れぬと言って」「ああ神よゆるしたまえ」「おおコラムよ...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「海豹」
...ああ神よ、今宵の我が眠りを護らせ給え、末子よ卿の夢が円(まど)かであるように...
山本周五郎 「青べか日記」
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