...細長い而かも鬱陶しい谷のやうなところだ...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...春三郎は病院の冷たい鬱陶しい心持と比べてこの家庭の平和な暖かな味に醉ふやうに覺えた...
高濱虚子 「續俳諧師」
...さてこの条(すじ)は……」「何だか鬱陶しいじゃありませんか...
モーリス・ルヴェル Maurice Level 田中早苗訳 「ペルゴレーズ街の殺人事件」
...其処に立つて居る一簇の老松の梢には夕方になれば鴉が四方から聚つて鬱陶しい雨に打たれながら騒ぐ...
長塚節 「隣室の客」
...私は鬱陶しい宿の退屈に堪へないので思ひ切つて雨の中をそこからでは遠くもないといふ炭坑を見に出挂けた...
長塚節 「隣室の客」
...それに珍らしく雨が降つて鬱陶しい気持の上に...
中谷宇吉郎 「ツーン湖のほとり」
...一伯爵――その頃はまだこんな鬱陶しい肩書が存在して...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...すべての鬱陶しい氣分を開放した...
萩原朔太郎 「宿命」
...――それは青葉と雨の鬱陶しい空気が家のうちまで重苦しく立籠っている頃であったが――まだ目の覚めきらない顔にぞっとしたものを浮べて...
原民喜 「翳」
...「貴女は魅惑的です」「貴方は鬱陶しい物件を背負い込むことになってよ」彼女は苦渋を含んだ微笑を浮かべながら言った...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...絶対に抗し難い奇妙に重く鬱陶しい...
牧野信一 「女に臆病な男」
...同じやうに頭の重い鬱陶しい日ばかりが私に続いてゐた...
牧野信一 「毒気」
...家に居るのは一層鬱陶しいから明日も矢張りまた出かけて来ようかな――彼はさう思つた...
牧野信一 「渚」
...」と聴き手は私の鬱陶しい衒気を瓦斯の様に嫌うに極まっている...
松永延造 「職工と微笑」
...鬱陶しい夜であつた...
クスミン Mikhail Alekseevich Kuzmin 森林太郎訳 「フロルスと賊と」
...むしろ急に肩身のせまくなったような鬱陶しい...
山本周五郎 「青べか物語」
...そんな鬱陶しいその日その日が...
レスコーフ Nikolai Semyonovich Leskov 神西清訳 「かもじの美術家」
...私は何だか寂しい鬱陶しい氣持を抱きながら上京の途についたのであつた...
若山牧水 「樹木とその葉」
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