...一夜殊に情の高ぶるのを覚えてほとんど眠られなかった時...
伊藤左千夫 「水害雑録」
...彼女は別に高ぶる様子もなく...
海野十三 「三人の双生児」
...禅師さまは少しも高ぶるところの無い...
太宰治 「右大臣実朝」
...即ち高ぶること莫からんために我を撃つサタンの使なり...
太宰治 「パウロの混乱」
...荒び高ぶるトロイアの戰禍襲ふを防ぎ得む』しか宣んすれば一齊に諸將は之に贊し聽く...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...その子は感情の高ぶるあまりふるえていた...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「サセックスの吸血鬼」
...「すべてみずから高ぶる人は下げられ...
永井隆 「この子を残して」
...微塵(みじん)も高ぶる風がなかった...
新渡戸稲造 「ソクラテス」
...驕り高ぶるなどといふことは...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...一四横山五助の、最後のうめきが、まだ耳に残っている浪路、気も上擦って、闇の小径を、それぞ音羽の通りと思われる方角を指して、ひた駆けに駆けつづけたが、息ははずむ、動悸は高ぶる、脚のすじは、痙(ひ)き攣(つ)ッて、今はもう、一あしも進めなくなるのを、やッとのことで、町家の並んだ、夜更けの巷路(こうじ)まで出ると、――ウ、ウ、ウ、ワン、ワン!と、突然、吠えついた犬――人こそ殺したれ、かよわい女気(おんなぎ)の、小犬が怖さに、また、やぶけそうな心臓を、袂で押えて急いだが、小犬はどこまでもと、吠え慕って、やがて、それが、二匹になり、三匹になる...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...けれどふしぎにもそこには傲(おご)り高ぶる心がなくしてへりくだるやさしき心がある...
三木清 「語られざる哲学」
...人に高ぶるなんぞといわれないようになさいよ」と忠告すると...
森鴎外 「渋江抽斎」
...知に高ぶるからである...
柳宗悦 「工藝の道」
...高ぶる知は、美の世界においても一つの罪である...
柳宗悦 「工藝の道」
...高ぶる智慧は幼き智慧だと云えないであろうか...
柳宗悦 「工藝の道」
...すべての工藝を直観の鏡の前に素裸(すはだか)にせしめる時、この最後の審判によって天国を保証される者は、あの富貴なる者、智慧に高ぶる者、技巧を衒(てら)う者、それらの者ではあり得ない...
柳宗悦 「工藝の道」
...自我に高ぶる者より謙遜(けんそん)な者の方が慕わしいのです...
柳宗悦 「美の国と民藝」
...高ぶる知は、美の世界においても一つの罪である...
柳宗悦 「民藝四十年」
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