...コトコトとその駒下駄の音を立てて店前(みせさき)へ近づくのに...
泉鏡花 「薄紅梅」
...」と裳(もすそ)をすらりと駒下駄(こまげた)を踏代(ふみか)へて向直(むきなほ)ると...
泉鏡太郎 「艶書」
...出しものは「肥後の駒下駄」と...
伊丹万作 「私の活動写真傍観史」
...からころと駒下駄(こまげた)の音が私を追いかけ...
太宰治 「虚構の春」
...やがて駒下駄の音が垣根の傍でぴたりととまったので...
田中貢太郎 「円朝の牡丹燈籠」
...駒下駄の音がカラコロと長い鋪石(しきいし)道に聞こえた...
田山花袋 「田舎教師」
...毎日の食事時にはこの娘が駒下駄(こまげた)の音をさせて迎えに来る...
寺田寅彦 「花物語」
...「それじゃ」「失礼」駒下駄の音も次第(しだい)に幽(かすか)になって...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...のめりの駒下駄(こまげた)がある...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...からんからんと駒下駄(こまげた)を引き擦(ず)る音がする...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...お靜の貸してくれた駒下駄(こまげた)を突つかけてゐたことは言ふ迄もありません...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...×年ひさしくなりぬればすべてのことを忘れはてたりむざんなる哉かばかりのもよほしにさへ涙も今はみなもとをば忘れたり×人目を忍びて何處(いづこ)に行かん感ずれば我が身も老いたりさんさんと柳の葉は落ち來る駒下駄の鼻緒の上に落日は白くつめたし...
萩原朔太郎 「暮春詠嘆調」
...見おろす町にからころと駒下駄の音さして行かふ人のかげ分明(あきらか)なり...
樋口一葉 「にごりえ」
...しかるに世間には私より収入の寡(すくな)い人で私だけの貯蓄もない人で或る場合には借金さえ背負って容易に返済の義務を果さない人でありながら弐円も参円もする畳付の駒下駄を穿(は)いている先生があります...
村井弦斎 「食道楽」
...それからまたその良人(おっと)さんには腕車(くるま)へ乗る入費や畳付(たたみつき)の駒下駄(こまげた)を買う入費を倹約して台所へお向けなさいと勧めます...
村井弦斎 「食道楽」
...只一足しか出して無い駒下駄を...
森鴎外 「雁」
...木戸口に俎板(まないた)大の駒下駄と畳一畳ぐらいの大かごを飾り...
山本笑月 「明治世相百話」
...踵(かかと)のすり減った駒下駄をはいていた...
吉川英治 「松のや露八」
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