...隙(ひま)さえあれば政夫さんにこびりついている」などと頻りに云いはやしたらしく...
伊藤左千夫 「野菊の墓」
...受附の男は何か頻りに聞き糺しながら面会の手続をしてやつてゐるらしかつた...
伊藤野枝 「監獄挿話 面会人控所」
...近づいて来る跫音(あしおと)が四辺に頻りにどかどか聞えるような気がした...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...此両部頻りに御自愛に及ぶ...
太宰治 「右大臣実朝」
...頻りにはら/\と降りかゝった...
谷崎潤一郎 「二人の稚児」
...まだ頻りに悲鳴を挙げてゐる犬の声に耳を留めたKは...
田山録弥 「犬」
...やれ誰さんがずぶ濡(ぬ)れになつたのと頻りに批評を加へるのであつた...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...呑氣なにも程があるといつて道者等が頻りに呟いて居る...
長塚節 「鉛筆日抄」
...水は土砂を潜つて今頻りに流れつゝあるのである...
長塚節 「痍のあと」
...どこへ行つて居るんだつて頻りに聞いた相ですよ」おいよさんは淋しく笑つた...
長塚節 「隣室の客」
...青く焦げるような空にむかって舞上る小鳥の姿が頻りに描かれた...
原民喜 「遥かな旅」
...頻りにお茶を飲んで空腹を紛らしてゐる...
原民喜 「魔のひととき」
...そうして人夫共は埋めた上に土を高くして其上を頻りに踏み固めている...
正岡子規 「死後」
...冗談口をきいたり髪へ頻りに手をやったりして...
矢田津世子 「※[#「やまいだれ+句」、第4水準2-81-44]女抄録」
...もうだいぶ前からぼくにぼくの少年期からのことを書きなさいなどゝ頻りにすゝめてゐたからである...
吉川英治 「折々の記」
...青葉の露の頻りに降る暗い坂道を...
吉川英治 「新書太閤記」
...彼が心の中で頻りにそう呶鳴ってみるもののそれで心は澄んで来なかった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...頻りに何やらの鳥の啼いているのが聞える...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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