...逸早くこの観念を受け入れ...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...少女の何人かを逸早く米国に送ってそれを北海道の開拓者の内助者たらしめようとしたこともある...
有島武郎 「北海道に就いての印象」
...逸早く窓外に展開された凄じい光景を見てとつた若い女性は...
飯田蛇笏 「薄暮の貌」
...顔のしやくつたのが逸早く聞耳を立てた...
石川啄木 「赤痢」
...相州さまは逸早くその御異図を感知なされ...
太宰治 「右大臣実朝」
...とうてい察しが届くまいと私は逸早くあきらめている...
谷譲次 「踊る地平線」
...勝った金で逸早くピアリッツの家(うち)を買って勇退したり...
谷譲次 「踊る地平線」
...庄谷は逸早く房一の席に気がついたらしい...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...「これが松花江(スンガリイ)だね?」「さう――」「大きいね?」逸早く女が下りるのをBは眼にして...
田山録弥 「アンナ、パブロオナ」
...路傍の百姓家の裸蝋燭が逸早く掠めるやうにして通つて行つたりした...
田山録弥 「百日紅」
...警察当局が真名古を出し抜いて逸早く状況を整備してしまったのは一面無理もない処置だったのである...
久生十蘭 「魔都」
...刑事の一人は逸早く宙を飛んで...
牧逸馬 「双面獣」
...洋裝婦人連の素姓を逸早く見拔いたらしかつた...
牧野信一 「痴日」
...逸早く、むすめは子を負い、むすめの良人は老禰宜を扶(たす)けて、どこかへ避難したにちがいないと察したからである...
吉川英治 「上杉謙信」
...――喩(たと)えば、徳川内府の如き老獪(ろうかい)に、われらは天下を渡すわけには参らぬ! 秀頼公をさしおいて、のめのめと、内府の思うつぼへ天下を差し出して、何と、故太閤殿下へ、あの世で会わす面(かんばせ)があるか」「では――どう召さる心底な?」「時は、今だと思う」「今?」「直江山城が、北国東国に拠(よ)って、内府へ加担の軍を、遠く寄せつけているこの秋(とき)に、秀頼公の御教書を乞い、西に毛利、島津を起たせ」「待たれい」刑部は、三成の語気を、こう鎮(しず)めて、「お身は、山城と、逸早く、脈を引いておられたな...
吉川英治 「大谷刑部」
...丸善あたりで逸早く外國で流行するものを繰展げ...
吉川英治 「折々の記」
...ついに追捕(ついぶ)の網にもれて逸早く逃げてしまったことである...
吉川英治 「新書太閤記」
...そこには、信長の嫡子(ちゃくし)信忠の遺子三法師(ぼうし)丸(まる)がいる関係上、自然、安土以後の織田家の中心がそこに移されたかのような観をなしていたためであるが、勝家には、そのこともまた、何か逸早く、秀吉が僭越(せんえつ)な音頭(おんど)を取って事態をうごかしているように邪推(じゃすい)された...
吉川英治 「新書太閤記」
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