...唐突(だしぬけ)に嫁入(よめ)らせると、そのぞっこんであった男が、いや、失望だわ、懊悩(おうのう)だわ、煩悶(はんもん)だわ、辷(すべ)った、転んだ、ととかく世の中が面倒臭くって不可(いか)んのです...
泉鏡花 「婦系図」
...宇治は堤の斜面を辷(すべ)りながらかけ降りた...
梅崎春生 「日の果て」
...ずるずると下へ辷(すべ)り卸したということですが...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...』アストラカンを肩まで辷(すべ)らせたまま...
谷譲次 「踊る地平線」
...土間へ辷(すべ)り出して...
中里介山 「大菩薩峠」
...スキーで新雪の傾斜を辷り歩くのもよく...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...汽車は滑かに、速に辷った...
葉山嘉樹 「乳色の靄」
...彼は勾配の強いスレートの屋根の斜面を辷り...
久生十蘭 「黒い手帳」
...娘つこたちは若者といつしよに氷のうへを辷る時のことを空想してゐた...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...十一時迄に新橋登喜本へ辷り込む約束にして...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...私はこの間のように眩惑されまいと努力しながら出来るだけしとやかに席を辷(すべ)った...
夢野久作 「あやかしの鼓」
...芸妓なんぞドウでもいい……」とウッカリ口を辷らしたから堪(た)まらない...
夢野久作 「爆弾太平記」
...すると私の足は不意に辷つた...
横光利一 「妻」
...電車がごとごとその上を辷っていくのを見たときの呆然とした自分...
横光利一 「夜の靴」
...同じ微笑を崩さずさっと氷の斜面を辷り下った...
横光利一 「旅愁」
...辷り廻ってゆく心も感じられ...
横光利一 「旅愁」
...馬さえ山坂ではまま辷(すべ)る...
吉川英治 「私本太平記」
...蟷螂(かまきり)ひとつ枯草へ辷(すべ)り落ちた音すらカサリと耳につく...
吉川英治 「新書太閤記」
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