...」「辛うじて一坂越したよ...
泉鏡花 「薄紅梅」
...破綻に瀕(ひん)した清川との恋愛を辛うじて繋(つな)ぎ止めているのに違いなかった...
徳田秋声 「仮装人物」
...辛うじて危機を脱し得たような緊迫感は少しもない...
外村繁 「澪標」
...予とポオリュウが手巾で鼻を蔽って辛うじて立っていた...
久生十蘭 「カストリ侯実録」
...大矢少尉は弾倉にあるだけの弾丸をめくら射ちに射って辛うじてその一団を追いはらった...
久生十蘭 「ノア」
...辛うじて、割りこむようにして得たものであったから、これはまことにありがたい措置であった...
本庄陸男 「石狩川」
...三分通りの要所は辛うじて解つたのである...
牧野信一 「或る日の運動」
...辛うじてよた/\と...
牧野信一 「鬼の門」
...他の馬が辛うじて向きがそろつて...
牧野信一 「競馬の日」
...寝台の下に転げ込んでゐる油壺を四つん這ひになつて辛うじて探し出した...
牧野信一 「ゾイラス」
...辛うじてZの顎の下から逼ひ出して蒸汽の目潰しから逃れたかとおもふと...
牧野信一 「剥製」
...何とまあ自分は気の毒な慌て者だつたことだらう――彼は辛うじて間に合つた汽車の窓に腕をのせて...
牧野信一 「陽に酔つた風景」
...つぎ竿の先で梯子の一端を「幸福を宿す木」が私達のために緑の葉を拡げてゐる――樅の枝に辛うじて懸けることが出来た...
牧野信一 「寄生木と縄梯子」
...どっちもどうやら辛うじて十五日の読物に纏め上げることができた...
正岡容 「小説 圓朝」
...残るところは新劇だけだが、これだけが、辛うじて、われわれの考察の題目になり得ると思う...
三好十郎 「恐怖の季節」
...与えられた僅かな扶持で辛うじて生きている姿...
山本周五郎 「はたし状」
...辛うじて左右を見た...
夢野久作 「暗黒公使」
...ヘヘヘ」「……………」呉羽は辛うじて首肯(うなず)いた...
夢野久作 「二重心臓」
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