...ほとんど身一つで...
太宰治 「きりぎりす」
...身一つでさう何事をも実験するわけには行かないからね』かういふことも聞いたことがあつた...
田山録弥 「私の考へてゐる事」
...身一つで焼け出され...
中里介山 「大菩薩峠」
...おれは但馬守ほどに剣術は使えないし、丈山ほどに漢詩をひねくる力はないが、遊ぶ方にかけちゃあ、ドコへ行ってもヒケは取るまい、近頃は、遊ぶに軍費というやつが涸渇(こかつ)しているから、遊びらしい遊びは出来ないが、今度のはれっきとした兵糧方がついている、なんと面白かりそうではないか――行って落着く住居までが、もう出来ているのだ、身一つではない、身二つを持って行きさえすれば、ここの生活が、直ちにそこへ移せるのじゃ、その上に、昔のようには及びもないが、再び神尾は神尾としての体面が保てる、お前にも苦労はさせないだけの保証があるのだ、異人館の方に未練もあるだろうが、京都での一苦労も古風でたんのうの味はあるに相違ない、同意ならば、善は急げということにしようじゃないか...
中里介山 「大菩薩峠」
...身一つでも容易でないのに能くも足がつゞくものだと思つた...
長塚節 「炭燒のむすめ」
...とも角身一つで東京へやって来て...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...銘々身一つで逃げるのが精一杯で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「お組はこゝへ來るとき、何か荷物らしいものを持つて來たのかえ」「いえ、本當に身一つで、手拭から櫛(くし)まで貸しました」「お小遣は?」「巾着(きんちやく)も紙入も持つてゐなかつたやうです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...身一つで母の許に歸りましたが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...身一つで家を出てしまひ...
林芙美子 「浮雲」
...槇氏は身一つで飛び出さねばならなかつたのだ...
原民喜 「廃墟から」
...殆ど身一つで子爵家の空氣を脱れたといふ有様で...
三島霜川 「平民の娘」
...彼らは今いずれも身一つで...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...身一つで踊るより外(ほか)にわたしには何(な)んにも無い...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...曹操は、身一つで、ようやく岸へ這いあがった...
吉川英治 「三国志」
...ほとんど身一つで...
吉川英治 「三国志」
...(いつまで、こうしていても)と、その後、呼び迎えた妻とも相談して、身一つで、諸国の遍歴に出た...
吉川英治 「新書太閤記」
...身一つで堰(せ)き止めた...
吉川英治 「日本名婦伝」
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