...経験を積むにつれて彼にもだんだん分かって来たことだが、こうした町の連中というものはカルタの相手にしたり、飲み食いの相手にしたりしているうちは温厚で、親切気があって、なかなかどうして馬鹿どころではないけれど、いったん彼らを相手に何か歯に合わぬ話、たとえば政治か学問の話をはじめたら最後、先方はたちまちぐいと詰まってしまうか、さもなければこっちが尻尾(しっぽ)を巻いて逃げ出すほかはないような、頭の悪いひねくれた哲学を振りまわしはじめるのだった...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「イオーヌィチ」
...しんの底から親切気を持っておいでになる...
中里介山 「大菩薩峠」
...それだけまた相当に親切気を見せ...
中里介山 「大菩薩峠」
...まあどうかくめんしてみようくらいの親切気はあるだろうと考えている...
夏目漱石 「三四郎」
...口先は冷淡でも腹の中には親切気のあるこの叔父は...
夏目漱石 「明暗」
...親切気があるなら...
野村胡堂 「大江戸黄金狂」
...そのとりなしは決して親切気から出たものではなかつた...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...「どうして?」と親切気に云はずには居られなかつた...
牧野信一 「素書」
...といきなり当人に云ったと云う医者の態度があまり親切気がない様で切角主婦がああ云って居るのにそんな事を云っていやな思いをさせずともと...
宮本百合子 「黒馬車」
...この無責任で親切気のない政府の不思議な居据り状態とを見較べて...
宮本百合子 「現実の必要」
...あの人らしく親切気から妙にこんぐらかったのだろうと思います...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...牛肉や舌を買ってもその通り商人(あきうど)に親切気のある者が滅多(めった)にありませんから一々よく検査しないと高い代価を払って悪い品物ばかり押付けられます...
村井弦斎 「食道楽」
...お粂が甘やかな親切気を見せて...
吉川英治 「江戸三国志」
...それが新田の親切気か...
吉川英治 「私本太平記」
...一つ思案の口を利(き)こうと思うてやってきたのに――その親切気をも無にしやがって...
吉川英治 「親鸞」
...出過ぎた親切気を...
吉川英治 「平の将門」
...まったく親切気があるなら...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...三五兵衛をよろこばそうという親切気もあって...
吉川英治 「八寒道中」
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