...眼の前に圓く擴がつてゐた海は段々圓周をせばめて遂には眼前一尺の先きも見透す事が出來なくなつた...
有島武郎 「潮霧」
...近くでは、日の黄を交えて草緑なのが、遠く見透すと、印度藍を濃く一刷毛横になすった様な海の色で、それ丈けを引き放したら、寒い感じを起すにちがいないのが、堪え切れぬ程暑く思える...
有島武郎 「かんかん虫」
...その夜はそこまで見透す力がなかった...
海野十三 「深夜の市長」
...犯行の本当の現場を見透す事が出来るのです...
大阪圭吉 「気狂い機関車」
...とても川底まで見透す事は出来なかった...
太宰治 「新釈諸国噺」
...何となく房一の心を見透すやうな...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...そこの薄暗さでは見透すのが困難であったので...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...普通の視覚の奥に隠れたあるものを見透す詩人創造者の眼である...
寺田寅彦 「アインシュタイン」
...取るべき道を誤らないためには前途を見透す内察と直観の力を持たなければならない...
寺田寅彦 「科学者とあたま」
...充分に把握出来ないということを見透すことが出来る...
戸坂潤 「イデオロギー概論」
...前二者の対立を後二者の対立を通して見透すことが出来ようと云うのである...
戸坂潤 「技術の哲学」
...最も手取り早く要領よく見透すことの出来るのは...
戸坂潤 「思想としての文学」
...ブルーノーよりデカルトをさらにカントを見透す線はそれである...
中井正一 「リズムの構造」
...それから的を見透すというと...
中里介山 「大菩薩峠」
...ずっと四方を見透すことの出来る高処(たかみ)に坐って...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...私の胸の底を見透すが如き甘気なにやりわらひを浮べて...
牧野信一 「バラルダ物語」
...苔むした根がたからずっと数多の幹々を見透す感じ...
宮本百合子 「九州の東海岸」
...底を見透す診察治療や...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
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