...僅(わず)かに覗(のぞ)かれる空には昼月が少し光って見え隠れに眺められた...
有島武郎 「カインの末裔」
...霧のなかに黒い点のように見え隠れしていた頭が...
リチャード・オースティン・フリーマン Richard Austin Freeman 妹尾韶夫訳 「歌う白骨」
...人波の間に見え隠れするナオミの姿を...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...清三の麦稈(むぎわら)帽子は毎年出水につかる木影のない低地(ていち)の間の葉のなかば赤くなった桑畑に見え隠れして動いて行った...
田山花袋 「田舎教師」
...五月雨(さみだれ)雲の間に見え隠れする白馬連峯を物色するうち...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...だいたい朱や緑青や白など顔料の残痕が朦朧と見え隠れする程度なのは惜しい限りだ...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...見え隠れに八をつけてやるから...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...お菊の跡を見え隠れにつけて行く様子ですが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...それから向側にぽっかりと新しい空間が見えてくる)「火の唇」のイメージは揺らぎながら彼のなかに見え隠れしていた...
原民喜 「火の唇」
...何処かの教会の尖(とが)った屋根らしいものが雪の間から幻かなんぞのように見え隠れしていた...
堀辰雄 「菜穂子」
...その竹垣の一方はまださっきから見え隠れしている庭の続きであったが...
堀辰雄 「三つの挿話」
...見え隠れについていく...
牧逸馬 「戦雲を駆る女怪」
...池の向ふ岸のあたりで主人は客の様子を藤の花に見え隠れとなつてうかゞつてゐるのであつた...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...遠い墾(き)り畑に見え隠れする犬を私は眺めてゐる...
三好達治 「測量船拾遺」
...見え隠れにちょろちょろ流れていた...
山本周五郎 「半之助祝言」
...濃くなり薄くなる朝靄(あさもや)の中に見え隠れしていた...
山本周五郎 「若き日の摂津守」
...見え隠れにさせましたが...
吉川英治 「江戸三国志」
...俺のあとから見え隠れについて来給え」「いや...
吉川英治 「新・水滸伝」
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