...俺の周圍に蠢く張三李四に比べて確に一歩を進めてゐる...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...神の愛を眞正に身に受けたる者は此愛を他の闇黒裡に蠢く同胞に光被させようとしなければならない筈であらう...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...清澄なる液体のなかに蠢くこの奇妙な人体の一部を凝視している...
海野十三 「生きている腸」
...暗闇に蠢くもの翌日の各新聞には...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...目を開けば暗闇の部屋に蠢く怪しい影となって...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...幽に蠢く人影をつきとめると...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...物の蠢く気配がした...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...早くも銀杏のうつろに蠢くものを見た...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...蠢く者京子の傷口が癒(い)えて病院から自邸に帰ったのは...
江戸川乱歩 「恐怖王」
...蠢くというのが一番適切な言い現し方なのであったろう――妙にヨタヨタとして腰の大きなガニ股の...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...その時この蠢くものが...
夏目漱石 「永日小品」
...あの僕の眼に灼きつけられてゐる赤く爛れたむくむくの死体と黒焦の重傷者の蠢く世界が...
原民喜 「長崎の鐘」
...それは恰も皮下に一個の林檎を蔵してゐるが如くグリグリと蠢く態(さま)は...
牧野信一 「バラルダ物語」
...テーブルの下で蠢く下駄や靴の音が雑然として鳴り初めたので...
牧野信一 「妄想患者」
...たしかに窓の外に蠢く人の気配が絶えないので...
牧野信一 「山男と男装の美女」
...微に記憶の蠢く過去と...
宮本百合子 「思い出すかずかず」
...すぐに安物らしい白地の博多帯をさぐってみると……どうだ……ムクリムクリ……ヒクリヒクリと蠢く胎動がわかるではないか……たしかに姙娠五箇月以上である...
夢野久作 「空を飛ぶパラソル」
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