...この洞穴の奥にいる食蜃人を一噛みに噛み殺せ... 
芥川龍之介 「犬と笛」
...食蜃人（しょくしんじん）や土蜘蛛（つちぐも）を退治するのに...
芥川龍之介 「犬と笛」
...なにか沙漠（さばく）の空に見える蜃気楼（しんきろう）の無気味さを漂わせたまま...
芥川龍之介 「河童」
...しかし美しい蜃気楼（しんきろう）は砂漠の天にのみ生ずるものである...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...僕は東京から遊びに来た大学生のＫ君と一しょに蜃気楼（しんきろう）を見に出かけて行った...
芥川龍之介 「蜃気楼」
...………奥さんはまだ蜃気楼を見ないの？」「いいえ...
芥川龍之介 「蜃気楼」
...それは、妙な形の黒雲と似ていたけれど、黒雲なればその所在がハッキリ分っているに反し、蜃気楼は、不思議にも、それと見る者との距離が非常に曖昧なのだ...
江戸川乱歩 「押絵と旅する男」
...キャフェ・ドュ・パリの空気が私にだけ見せてくれた蜃気楼（しんきろう）だったかも知れないのである...
谷譲次 「踊る地平線」
...山木が不義に得て不義に築きし万金の蜃気楼（しんきろう）なりけり...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...蜃気楼を恐るるのは今更に卑怯であろう...
豊島与志雄 「故郷」
...彼女の魂を取り巻いてる蜃気楼（しんきろう）のようだった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...言はば山間都市に対する蜃気楼的な幻想――にある...
萩原朔太郎 「石段上りの街」
...ちようど蜃氣樓のやうになつて見えて來るやうな氣がしてならなかつたのですよ……』しかし私は言ひ足りなさを覺えて自分の胸を抑へました...
水野仙子 「道」
...支那の竜蛟蜃など...
南方熊楠 「十二支考」
...又今切角お久美さんの心の前に美くしく現われて居る蜃気楼を自分の一言で打ち崩す事も出来なかった...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...其論文の構造は如何にも華麗にして恰（あたか）も蜃気楼（しんきろう）の如くなれども堅硬なる思想の上に立たざるが故に...
山路愛山 「明治文学史」
...緑地（オアシス）も蜃気楼（しんきろう）も求められない沙漠のような……カサカサに乾干（ひから）びたこの巨大な空間に...
夢野久作 「少女地獄」
...龍宮城（りゅうぐうじょう）の蜃気楼（しんきろう）がたつといわれる那古（なこ）の浦（うら）も...
吉川英治 「神州天馬侠」
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