...下地は好きなり空腹でもあったので、ほろほろ気分になって宿のある方へ歩いていると、ぴこりと前に立ってお辞儀をした男があった、中年の、痩せて蒼白い、見るから神経質らしい顔の持主だった...
種田山頭火 「道〔扉の言葉〕」
...それにきまつてかれの頭髪(かみ)の延びた蒼白い神経質な顔が映る...
田山録弥 「田舎からの手紙」
...蒼白い沈んだ面の竜之助を...
中里介山 「大菩薩峠」
...蒼白い上品な顔をすっかり硬(こわ)ばらせて居る位ですから...
野村胡堂 「悪魔の顔」
...眼の大きい蒼白い男...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...あまり陽に當らない蒼白い顏もお店者(たなもの)らしく...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「親分さん」不意に聲を掛けたものがあります、それは少し骨張つては居るが、蒼白い若い男、「手代の喜三郎ですよ」此時戻つて來た八五郎がそつと囁いてくれます...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...泥棒がん燈の丸い光の中に浮んだのは、何んと、緋縮緬(ひぢりめん)の腰巻一つになって、裸体になった女の立ち姿、それは全身水に光って人魚さながらの美女、蒼白い顔、肩に流るる黒髪、――それは凄艶(せんえん)にも、昇華(しょうか)し去りそうな美しい姿です...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...蒼白い路のうえに立って...
久生十蘭 「金狼」
...蒼白い光芒の中に浮び出すその荘館(シャトウ)というのは...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...死人のように蒼白いが...
アルジャナン・ブラックウッド 森郁夫訳 「秘密礼拜式」
...峻烈な寒氣が凝集(ぎようしふ)してゐる』この不氣味な蒼白い領域(りやうゐき)に...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...蒼白い顔の神経質らしい男だった...
牧逸馬 「浴槽の花嫁」
...――すると、その目も綾なる花吹雪の中に、何処から迷ひ込んで来た悲劇の主人公であるかのやうな、顔の蒼白い、丈のひよろりとしたひとりの青年が眼鏡を光らせながら、いかにも一心さうに傍目も触れず人々をわけて登場して来た...
牧野信一 「創作生活にて」
...蒼白い弛んだつやのない皮膚は...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...どこか病気でも患(わずら)っているような蒼白い窶(やつ)れた表情をしていた...
山本周五郎 「日本婦道記」
...あの蒼白い妖焔(ようえん)の幻滅する間際に...
吉川英治 「銀河まつり」
...却ってトテモ幸福なやつだと思っているよ」そう呟くようにいっている水木の蒼白い顔は...
蘭郁二郎 「魔像」
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