...船の右舷に被ひかゝるやうに聳え立つた惠山の峭壁を見た時には...
有島武郎 「潮霧」
...あれも囚人のゐる処?』開放された廊下への上り口から見える中庭の向ふの低い屋根を圧して高く聳え立つた家の側面が...
伊藤野枝 「監獄挿話 面会人控所」
...夜空に聳え立つ工場の窓には明々(あかあか)と灯がうつり...
海野十三 「深夜の市長」
...怪賊退(の)がさじと聳え立つは...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...崖の崩れた生ま生ましい痕が現はになり渓流の中にも危岩が聳え立つて奔流を苛立たせてゐる処もある...
寺田寅彦 「雨の上高地」
...山の手の坂道はしばしばその麓(ふもと)に聳え立つ寺院の屋根樹木と相俟(あいま)って一幅の好画図(こうがと)をつくることがある...
永井荷風 「日和下駄」
...早瀬の中に聳え立つ...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...南北の「極」そのものは「恐ろしく高く聳え立つ黒い岩」として表現され...
久生十蘭 「南極記」
...さながら王者の如く群山の上に聳え立つてゐる...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...その地に着いたのはつい先ごろ仄暗い極北の地から――聳え立つ奇怪の荒野から宙の果て...
エドガー・A・ポオ Edger A. Poe 「ポオ異界詩集」
...山腹の中途に聳え立つ南蛮寺の墓地に近く...
夢野久作 「白くれない」
...それにつゞく連嶺の聳え立つ果しなき山なみ...
吉江喬松 「山岳美觀」
...熊野路一帶は海岸から急に聳え立つた嶮山のために大洋の氣を受けて常に雨が多いのださうだが...
若山牧水 「熊野奈智山」
...次いではどつしりと數千尺も天空を突いて聳え立つ某山脈となつて居る...
若山牧水 「姉妹」
...手に取る樣な眞近な空にわが富士山は聳え立つてゐるのであつた...
若山牧水 「樹木とその葉」
...ひよつと上を見るといつか疎らになつた林の眞上いつぱいに例の妙義の岩山が眞黒い樣に聳え立つてゐるのが見えた...
若山牧水 「樹木とその葉」
...その空を限つて嶮しく聳え立つた鳳來寺山の山(やま)の端(は)は次第に墨色深く見えて來た...
若山牧水 「梅雨紀行」
...みつちりと樹木の立ち込んだ峯のところ/″\に恰も鉾を立てた樣に森から露出して聳え立つた岩の尖りがある...
若山牧水 「鳳來寺紀行」
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