...風に動いてゐる伊予簾(いよすだれ)...
芥川龍之介 「鼠小僧次郎吉」
...簾に寄る白浪は、雪の降るより尚(な)お冷い...
泉鏡花 「浮舟」
...滝の水烟(すゐゑん)枝(えだ)に潤(うるほ)ひしが津(しづく)となり氷柱(つらゝ)となりて玉簾(たまのすだれ)をかけ周(めぐら)したるやうなるは...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...」お幸ちやんはかう云ひ云ひ暖簾の口へ行つて正宗を通したが...
田中貢太郎 「蛾」
...蒸籠(せいろう)のように作ってある簾(すだれ)の底へ紙の形に沈澱(ちんでん)すると...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...浅き汀(みぎわ)に簾様(すだれよう)のもの立て廻せるは漁(すなど)りの業(わざ)なるべし...
寺田寅彦 「東上記」
...その代り小舷(こべり)に繻子(しゅす)の空解(そらどけ)も締めぬが無理かと簾下(おろ)した低唱浅酌(ていしょうせんしゃく)の小舟(こぶね)はかえっていつにも増して多いように思われた...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...逃げ腰になって腰の物を受取る奴があるものか、――それにたいそう顫えているではないか」「…………」思わず、今入って来た入口の方へ眼を移すと、暖簾の間から、鉢巻、襷(たすき)といった扮装(いでたち)の人間が、押し重なって覗いているではありませんか...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...暖簾(のれん)を潜つて飛込んだものの...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...古い暖簾、黒塀の質屋、初午の太鼓、いろいろの風物詩がホロホロとうかんできたのです...
正岡容 「随筆 寄席囃子」
...御簾(みす)の所へ出て来た...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...蚊いぶしの煙が葭簾の隙間から条(しま)のようになって外へながれ出るのを...
山本周五郎 「嘘アつかねえ」
...掛け行燈も暖簾(のれん)もなく...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...表に人が立つと引っ張りの男がたちまち暖簾の陰から現われて「一枚お土産(みやげ)にいかがさま...
山本笑月 「明治世相百話」
...問注所衆の面々から“御簾ノ廂”の内の人まで...
吉川英治 「私本太平記」
...彼女はそこの暖簾(のれん)から往来へ出て来た...
吉川英治 「死んだ千鳥」
...『……御免』低い声で、暖簾の間から、侍はそう云ってみたが、小女も老婆も、うとうとと、快げに居眠っているので、黙って、傍らの木戸を自分で開けて、中庭へ忍(しの)び足に這入(はい)って行った...
吉川英治 「死んだ千鳥」
...床の間の壁は、簾でふさぎ、簾に版画か何か懸けたりしている...
吉川英治 「随筆 新平家」
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