...何之助とかいふ娘義太夫が、花簪を擲げ出し、髮を振亂して可愛い目を妙に細くして見臺の上を伸上つた眞似をしてる時、スウと襖が開いたので、慌てて何氣ない樣子をつくらうて、開けた本を讀む振をしたが、郵便を持つて來た小間使が出て行くと、氣が附いたら本が逆さになつてゐた...
石川啄木 「散文詩」
...唯(と)見(み)ると銀杏(いてふ)の簪(かんざし)をさした細腰(さいえう)の風情(ふぜい)がある...
泉鏡太郎 「十六夜」
...」「簪が?……ちょっと...
泉鏡花 「怨霊借用」
...簪(かんざし)を武器にして手ひどく抵抗した...
伊波普猷 「私の子供時分」
......
伊良子清白 「孔雀船」
...三娘も髻(もとどり)の上にさした緑の簪(かんざし)をぬいて返しをした...
蒲松齢 田中貢太郎訳 「封三娘」
...あの白鼈甲の簪を挿した...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...庄吉は、深雪と簪とを、見較べて、暫く、突っ立ったままでいたが「下さるんですかい、あっしに?」「何も――お礼を――これを、せめて形見に――」「ええ」と、頷くと、庄吉は、はらはらと、涙を落した...
直木三十五 「南国太平記」
...今日は珊瑚(さんご)のやうな赤い玉の簪(かんざし)を一本して居る...
長塚節 「炭燒のむすめ」
...銀簪(ぎんかんざし)を深々と右の眼に突つ立てられて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...一體その簪は古い型で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お萬さんの簪(かんざし)...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...(辰三郎夫婦が見返りながら去って行くのを見送り)ああお蔦さん、棒ッ切れを振り廻してする茂兵衛の、これが、十年前に、櫛、簪、巾着ぐるみ、意見を貰った姐(あね)さんに、せめて、見て貰う駒形の、しがねえ姿の、横綱の土俵入りでござんす...
長谷川伸 「一本刀土俵入 二幕五場」
...街道には簪のやうな櫻の花が咲き...
林芙美子 「雪の町」
...頃日(けいじつ)庭に咲いた中華民国産のマルバタマノカンザシ(円葉玉簪花)の写生に四日を費やしたようの始末で...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...鼈甲のしんに珊瑚の入った花の簪が早朝の黒い土に落ちて...
宮本百合子 「からたち」
...ヒスイの簪(かんざし)の脚で頭を掻いては絶えず喋っている媒合(ばいごう)...
宮本百合子 「刻々」
...ひらひらの簪(かんざし)などを挿して...
柳田国男 「木綿以前の事」
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