...その柄(がら)の細かい所には里の母の着古しというような香(にお)いがした...
有島武郎 「或る女」
...衣服は着古したものではあるが清潔で...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...着古したんですけど...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...暫く着古して、自然と垢づいて来ると、もうかまつたものではない...
武田麟太郎 「大凶の籤」
...こんな着古しをきてゐる彼女は...
竹久夢二 「砂がき」
...「人様がさんざん着古した垢や汗のついたものばかり二...
橘外男 「蒲団」
...さんざんに着古した制服を着ていた...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...大抵の場合、こういう時に施しに出すのは、着古したものか、洗いざらしとかいう種類にきまっているのに、こんな結構な着物を、羽織から揃えて一重ねも投げ出そうというのは、少し気前がよすぎてはいないかと、お雪ちゃんが、そこへ気を取られたものですから、いったん、起き直ったのを坐り直して、右の一重ねの衣類を手に取って、つくづくと見たものです――つくづくと見ているうちに、お雪ちゃんの唇の色が変りました...
中里介山 「大菩薩峠」
...「どうぞそれじゃ何分」彼は健三の着古した外套に身を包んで...
夏目漱石 「道草」
...他(ひと)の着古した外套を貰いたがるのは少し矛盾であった...
夏目漱石 「明暗」
...珍妙なくらい着古した古風な服だが...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...だが、もう古くさくて、ごてごて飾りすぎているし、何度も修繕してあり、着古していて、あなたの年にもあなたの姿恰好にもあなたの地位にもぴったりしません...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...着古した、玉ラシャのオーヴァ・コートに貧苦のやつれを見せたサト子が、豪勢なラクダ色の七分コートを、ふかふかと着こんだ大矢シヅに傘をさしかけられ、沈んだ顔で、街路樹の下を歩いている...
久生十蘭 「あなたも私も」
...大分着古した黒のトウィイドに黒いソフトを深く被って...
牧逸馬 「土から手が」
...おそらくは英吉利旦那(イギリスマスター)の着古しであろうぼろぼろのシャツの裾(すそ)を格子縞(こうしじま)の腰巻(サアロン)の上へ垂らして...
牧逸馬 「ヤトラカン・サミ博士の椅子」
...見苦しい着古しになっていなかったろうかなどと思いながらもその人の愛が身に沁(し)んだ...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...昔の恋人が着古したものを着ながらも貴女(きじょ)らしい艶なところの多かったことの思い出される薫であった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...――老人はすっかり着古してすり切れてしまった羅紗(らしゃ)の外套(がいとう)をひきかけ...
山本周五郎 「麦藁帽子」
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