...生ぬるいらしい酒をずるつと啜り込む音とが堪らなく気持がよかつたのだ...
有島武郎 「骨」
...貝が舌を出すようにふとんから脛(すね)を出して寝た涼しいような暑いような機嫌がいいようなくたびれたような生ぬるいような濁った塩水のようななまぐさいような夕方はまつゆにされるはまぐりのようなこうした詩を...
高見順 「いやな感じ」
...生ぬるい自由なんて...
太宰治 「乞食学生」
...二人で生ぬるい番茶を飲んだ...
太宰治 「パンドラの匣」
...土地特有の生ぬるいビイルを一杯ずつ飲ませろと言ったのだそうだ...
谷譲次 「踊る地平線」
...夫婦生活を始めてから二十何年間、夫は何とつまらない、およそこれとは似ても似つかない、生ぬるい、煮えきらない、後味の悪いものを私に味あわせていたことだろう...
谷崎潤一郎 「鍵」
...とも子はそれを噛り生ぬるい湯を呑んで外へ出た...
戸田豊子 「歩む」
...生ぬるいことが嫌い...
中里介山 「大菩薩峠」
...そんな生ぬるいことじゃありません...
中里介山 「大菩薩峠」
...ある生ぬるい晩を歩きにでると世の中がすつかり変化(かは)つてしまつたやうに感じる...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...生ぬるい水を腹いっぱい呑んで...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...脂湿りのする生ぬるい掌の中へ加十の指先を巻込みながら...
久生十蘭 「魔都」
...此の生ぬるいような味には...
古川緑波 「牛鍋からすき焼へ」
...生ぬるい手段なんか取っていられない...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「真劇シリーズ」
...生ぬるい風がただよう河岸を...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...脂肪の多い妻は生ぬるい白い乳をしぼっては...
室生犀星 「童子」
...採用されるか斷はられるかなどといふ生ぬるいものではなく...
吉川英治 「折々の記」
...しかしそれは浅い生ぬるい事実に過ぎなかった...
和辻哲郎 「転向」
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