...生ぬるいらしい酒をずるつと啜り込む音とが堪らなく気持がよかつたのだ...
有島武郎 「骨」
...生ぬるい涙じるを手の平で押しぬぐつた...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...生ぬるい液体が、快よい重量感をもって、咽喉(のど)を下って行った...
梅崎春生 「桜島」
...生ぬるい人間の呼吸が気味悪い...
梅崎春生 「風宴」
...そんな生ぬるい目的ぢやないんだ...
太宰治 「右大臣実朝」
...とも子はそれを噛り生ぬるい湯を呑んで外へ出た...
戸田豊子 「歩む」
...生ぬるいことが嫌い...
中里介山 「大菩薩峠」
...三十四室内はこうも張りきった怒罵、悪言の真最中であるにかかわらず、ちょうどこの前後の時、一つの生ぬるい、だらしのない叫び声が、思いがけない方角から起ったのは――「頼むよう、助けてくんなよう、人殺し――」なんという生ぬるい、だらしのない声だろう...
中里介山 「大菩薩峠」
...然(しか)るにもかかわらず、ここへ響いて来る音調は、こうも生ぬるい、だらしのない、歯切れの悪い音調なので、むしろ、人をばかにしているようにしか聞き取れない...
中里介山 「大菩薩峠」
...しかし、表向き隊の屯所(とんしょ)の方面は、今暁、昨晩からかけてものすごい人の出入りで、ものすごい殺気が溢(あふ)れ返っていると見えたが、それも、やがて、げっそりと落ち込んだように静かになってしまったから、今朝の月心院の庫裡(くり)の光景というものは、冷たいような、寒いような、生ぬるいような、咽(む)せ返るような、名状すべからざる気分に溢れておりました...
中里介山 「大菩薩峠」
...生ぬるい水が耳のあたりをぴちゃぴちゃ音をたてながら...
中島敦 「プウルの傍で」
...脂湿りのする生ぬるい掌の中へ加十の指先を巻込みながら...
久生十蘭 「魔都」
...生ぬるい風がただよう河岸を...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...脂肪の多い妻は生ぬるい白い乳をしぼっては...
室生犀星 「童子」
...生ぬるい涙をあとからあとから流しているばかりであった...
夢野久作 「木魂」
...タラタラと生ぬるい液体がこぼれて来たので...
吉川英治 「江戸三国志」
...じっとそれに耐えていた揚句になお――生ぬるい今の言葉であったからだ...
吉川英治 「大岡越前」
...まさしく彼は自分の浅い生ぬるい経験から押して...
和辻哲郎 「転向」
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