...二日の物憂い旅の後に晩秋の東京に着いた...
有島武郎 「小さき者へ」
...言葉をかけようとしたが舌が重くって物憂い...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「鳩つかひ」
...ロシア帽子の運転手は物憂い調子でハンドルを切る...
大阪圭吉 「白妖」
...ふしぎの国――愛らしく、野蛮で、神話的な国土は、物憂い安逸に、彼を誘った...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...再発の兆(きざし)で物憂いこともあったにちがいなかった...
「草藪」
...ひどく物憂い気持に襲はれたのである...
太宰治 「お伽草紙」
...室内は物憂い静寂に復(かえ)った...
谷崎潤一郎 「細雪」
...物憂い灰色の空がのぞいているばかりです...
フランセス・ホッヂソン・バァネット Frances Hodgeson Burnett 菊池寛訳 「小公女」
...みな緩慢な動作の物憂い幻だったとしか思えない」八十度圏は...
久生十蘭 「南極記」
...この物憂い世界はどんなことになるやら」「あとを引くでしょうね」「いや...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「鉄面皮」
...徳ちやんの上に物憂い同情の念が湧くのみだつた...
牧野信一 「街角」
...ちやうど物憂い寢ざめからさめると...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...単調な、物憂い、どうにもならない時がすこしずつ移って行ったけれど、まだ私らは調べられなかった...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...益益物憂い低められた感情をありありと見るような気がした...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...物憂い昼間の仕事台に向っていたときの男とは別人のような元気と精力をもっているようにおもわれた...
室生犀星 「香爐を盗む」
...わたしはむしろ物憂い嫌厭に似た気もちにさへなつた...
室生犀星 「故郷を辞す」
...冬が起き上ったような物憂い寒々した腰つきが...
室生犀星 「童話」
...行燈(あんどん)に灯を入れるのも物憂いので...
吉川英治 「江戸三国志」
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