...主人の君のわが獨り物思ふことの人に踰(こ)えたるを戒(いまし)めて...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...何時か式部が兼房の朝臣に送つたと云ふ人知れず物思ふ事は習ひにき花に別れぬ春しなければ其の歌の心も今こそ赤染衞門に沁々と頷かれる心地がして...
今井邦子 「誠心院の一夜」
...物思ふ手が一寸とまるのか...
高浜虚子 「斑鳩物語」
...山火事の天を焦(こが)して霜赤し蒼苔低く飛ぶ星あり今宵霜降らん東雲鶺鴒(せきれい)の尾にぞ霰(あられ)のはじかれし蒼苔橋に来てまたはら/\と霰散る花牛堂大いなる霰ころがりて縁に消えざる虚子玉霰忽(たちま)ち来り忽ち歇(や)む楽天京に入つて霰に笠を叩かれつ不迷物思ふ窓を霰に叩かれき不染あられうつ石峨々(がが)として水急なり霜磧こんな類(たぐい)であります...
高浜虚子 「俳句の作りよう」
...秋暑い窓の女はきちがひか物思ふ雲のかたちのいつかかはつて草を草鞋をしみ/″\させるほどの雨うまい匂ひが漂ふ街も旅の夕ぐれ傾いた屋根の下で旅日記書いてゐる・蚤が寝せない旅の星空こゝの名物...
種田山頭火 「行乞記」
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種田山頭火 「行乞記」
...これを例するに日本の女の物思ふ時片手の上に首(うなじ)を支(ささ)へ物聴(き)かんとする時跪(ひざま)づきたる腿(もも)の上に両手を置きやや斜(ななめ)に首を傾けて物いふさまその消行(きえゆ)くが如き面影(おもかげ)のいかに風情(ふぜい)深きや...
永井荷風 「江戸芸術論」
...いか許り物思ふらん君が手に我が手はあれど倒れんとしぬミユンヘンへ行つた頃の夫人のノスタルヂアは余程昂進してゐてこの歌の通りであつたらしく幾許もなくマルセイユから乗船してまた一人で帰朝されたのであつた...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...某(それがし)ヴィシュヌを念ずるに一心にして妻がいかにかの一儀を勤むるも顧みず「川霧に宇治の橋姫朝な/\浮きてや空に物思ふ頃」ほかにいいのがあるんだろうと...
南方熊楠 「十二支考」
...物思ふに立ち舞ふべくもあらぬ身の袖うち振りし心知りきや失礼をお許しください...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...わきてこの暮(くれ)こそ袖(そで)は露けけれ物思ふ秋はあまた経ぬれど「神無月いつも時雨は降りしかど」というように...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...入り日さす峯にたなびく薄雲は物思ふ袖(そで)に色やまがへるこれはだれも知らぬ源氏の歌である...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...穂にいでぬ物思ふらししのすすき招く袂(たもと)の露しげくして柔らかになったお小袖(こそで)の上に直衣(のうし)だけをお被(き)になり...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...「山里の秋の夜深き哀れをも物思ふ人は思ひこそ知れ御自身の寂しいお心持ちからでも御同情はしてくだすっていいはずですが」と姫君へ取り次がせたのを伝えたあとで...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...うきものと思ひも知らで過ぐす身を物思ふ人と人は知りけりと浮舟が返しともなく口へ上せたのを聞いて...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...物思ふこと多きかな...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...物思ふ身も独りぼち...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
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與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
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