...物堅い僕の性質が『あの人なら』という風に彼等の深い信用をかっていたのだもの...
江戸川乱歩 「恐ろしき錯誤」
...お供はしないことになっております」この物堅いハッキリした下男の答は...
大阪圭吉 「死の快走船」
...本屋はその飜訳をかねて昵懇(なじみ)のある物堅い牧師さんに頼んだ...
薄田泣菫 「茶話」
...東雲の二代目になる息子は、雷門の焼けた丑年生まれで、師の没せられた時は十四、五、名を栄吉(えいきち)といって後に二代東雲となりましたが、この人、気性は父に似て至って正直で、物堅い人、また甚だ楽天家でありましたが、かなり酒量の強い方の人であった...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...彼が接した数千の女性のうちで最も物堅いのが自分の情婦であつたことは...
武田麟太郎 「日本三文オペラ」
...舅さんは非常に物堅い方ですから...
田中貢太郎 「荷花公主」
...部屋は物堅い感じの野暮くさいもので...
徳田秋声 「仮装人物」
...物堅いあなたのことですから...
中里介山 「大菩薩峠」
...痛み入った御接待にあずかりまして」例によって物堅い弁信法師の辞儀...
中里介山 「大菩薩峠」
...其地主に向つては殆んど絶對の服從をすら甘んずるばかりに物堅い爺さんの頭は馴致(なら)されて居るのであります...
長塚節 「白瓜と青瓜」
...物堅い地味な人だと云うだけは...
夏目漱石 「それから」
...時には途方もない物堅い人間が生存していたに違いない...
野村胡堂 「銭形平次打明け話」
...働き好きな物堅い素朴な人々と...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「道化者」
...物堅い家に育つた若者の服裝をして...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...親子共物堅い人間で...
森鴎外 「雁」
...それ程物堅い親子が揃(そろ)って来るとなると...
森鴎外 「雁」
...滋野は笑つて「もとは帽子に附ける造花を内職にして居た物堅い家(うち)のお嬢さんだが...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...魯粛如きに、上座をお譲り遊ばすとは」「なぜ、ご遠慮あるか」「以前はともあれ、今はわが主君の婿君たるあなた様をおいて、臣下の私が上に坐るいわれはありません」「いや、旧交を思うてのこと、左様に謙譲にせずともよい」「でも、礼儀だけは」と、物堅い魯粛は、あくまで辞退して、横に席を取った...
吉川英治 「三国志」
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