...蔽(おい)のかかった火桶を引寄せ...
泉鏡花 「絵本の春」
...二人の間には桐の火桶が置いてありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...細君は道也先生の丸火桶(まるひおけ)の前へ来て、火桶の中を、丸るく掻きならしている...
夏目漱石 「野分」
...風雅な火桶に手をかざしていた...
正岡容 「圓太郎馬車」
...数々の生死(いきしに)おもふ火桶かな蓋しわがすべての感懐感慨はこの一句に尽きてゐる...
正岡容 「下町歳事記」
...寒さもまさり来るに急ぎ家に帰れば崩(くず)れかかりたる火桶もなつかしく...
正岡子規 「俳諧大要」
...「おお、坐りてえか? 坐んなせえ、大丈夫かな」浪路を、畳に下ろして、のぞき込んで、「さあ出かけよう――歩けねえなら、おれがしょって行ってやる――どこへ行きてえのか? ここにいちゃあ、ためにならねえ――」「あの方のところへ――雪どののところへ――山ノ宿――」と、かすかに浪路が、いったがまだ、気が乱れていると見えて、フラフラと立ち上って、「あれ、放しゃ! 汚らわしい!」「仕方がねえな――」と、法印、困(こう)じ果ててつぶやいて、「兎(と)に角(かく)、その山ノ宿へ送ってやろう」暗刃一ここは、浅草山ノ宿、雪之丞が宿の一間、冬の夜を、火桶をかこんで、美しい女がたと、ひそひそと物語っているのは、堅気一方、職人にしても、じみすぎる位の扮装(なり)をした象牙彫師(ぞうげほりし)の闇太郎――「どッち道、いよいよ、枝葉の方は、おのずと枯れて来たわけだね」と、闇太郎が、いっている...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...油が少くなったのだろう、行燈の火がじりじり呟きながら揺れ、火桶の炭火は、白く厚く灰をかむっていた...
山本周五郎 「契りきぬ」
...私は火桶(ひおけ)に炭をつぎ足して独りそっとこの筆をとる...
山本周五郎 「日本婦道記」
...火桶(ひおけ)を中に二人は坐った...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...燗鍋(かんなべ)に酒を注いで火桶にかけながら...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...火桶(ひおけ)へ手をかざしながら...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...こんど幾つ」「四つになるのよ」おもんは火桶(ひおけ)の上へ半身をのしかけ...
山本周五郎 「柳橋物語」
...みなさん火桶の側へ寄って楽にしてください...
山本周五郎 「夜明けの辻」
...「さ、そこで」と、女は、炉の火を、火桶に移し、また芋粥を茶碗に盛って、土間の框(かまち)へおいた...
吉川英治 「雲霧閻魔帳」
...火桶に顔をかざしながら...
吉川英治 「雲霧閻魔帳」
...火桶(ひおけ)をそなえよ...
吉川英治 「私本太平記」
...「ふむ、火桶」後醍醐は、侍者(じしゃ)の狂喜していう伝奏に、ふと暗中の御気配をゆるがして、「それはうれしい...
吉川英治 「私本太平記」
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