...潺湲(せんくわん)たる水の辺(ほとり)に立枯れてゐる蓬(よもぎ)の葉を...
芥川龍之介 「芋粥」
...潺々たる谷川の音にまじつて今そこに鳥が來たかと思ふ許りに近く明瞭にあやしく鋭い夜鳥の聲は...
今井邦子 「佛法僧」
...潺湲(せんかん)たる清流は夕陽(ゆうひ)を受けて照りかがやき...
太宰治 「新釈諸国噺」
...潺湲(せんかん)と響き...
田中英光 「箱根の山」
...渓間(たにま)の清水が潺湲(せんかん)と苔の上をしたゝるような不思議な響きは別世界の物の音のように私の耳に聞えて来る...
谷崎潤一郎 「少年」
...渓流の潺湲もなければ...
田山録弥 「海をわたる」
...或は潺々(せん/\)とした小さい瀬を成し...
田山花袋 「日光」
...やがて渓はその最初の潺渓を段々その前に展いて来た...
田山花袋 「耶馬渓の一夜」
...潺渓とした水が却つてそれに伴つてゐるのである...
田山花袋 「耶馬渓の一夜」
...また塩原あたりで耳にするあの潺渓でもなく...
田山花袋 「耶馬渓の一夜」
...井底(せいてい)深(ふか)く二つ三つの涌き口から潺々(せん/\)と清水の湧く音を聴いた時...
徳冨盧花 「水汲み」
...草叢(くさむら)の間を潺々(せんせん)と流れる清水などが断えず眼の前に出て来るもので...
中里介山 「大菩薩峠」
...其處は澤の水が潺湲と流れて...
沼井鐵太郎 「黒岩山を探る」
...其処にはただ三四尺の小さな流がもとのままに潺々(せんせん)たるせせらぎの音を立てているだけなのに自分勝手な思いを馳(は)せていた...
堀辰雄 「朴の咲く頃」
...……沸々として涌き出づる泉の微温が潺湲と胸に滾れたかと思ふと...
牧野信一 「坂道の孤独参昧」
...潺々(せんせん)混々...
村井弦斎 「食道楽」
...春から冬のはじめにかけてはいつも潺々(せんせん)と溢(あふ)れているのだが...
山本周五郎 「日本婦道記」
...潺湲(せんかん)たる水音に耳を洗われながら小径(こみち)の柴門(さいもん)を入ると...
吉川英治 「三国志」
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