...顳(こめかみ)の上へ二つの漣立(さゞなみた)つた黄金の河を流してゐた...
テオフィル・ゴーチエ Theophile Gautier 芥川龍之介訳 「クラリモンド」
...漣(さざなみ)も立てずに春の日ざしを照り返して居るばかりでございます...
芥川龍之介 「竜」
...山のような五百重(いおえ)の大波はたちまちおい退けられて漣(さざなみ)一つ立たない...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...海には漣一つ起たぬのに...
石川啄木 「散文詩」
...或時何かの問題で天台道士と漣と論戦した事があった...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...漣はこういう早熟の奇才子であった...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...漣はその時二十歳(はたち)であったが...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...漣は根が洒落(しゃらく)である上に寛闊(かんかつ)に育ち...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...紅葉(こうよう)、漣(さざなみ)、思案(しあん)と妍(けん)を競う中にも美妙の「情詩人」が一頭(いっとう)地(ち)を抽(ぬき)んでて評判となった...
内田魯庵 「美妙斎美妙」
...鏡面に漣(さざなみ)がたったかと思うと...
海野十三 「十八時の音楽浴」
...漣(さざなみ)を立てた潮流が小さな山川のように泡立ちさざめいていた...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...ここで若い靴磨きが変な街路詩人の詩を口ずさみ三等席の頭上あたりの宵の明星を指さして夕刊娘の淡い恋心にささやかな漣(さざなみ)を立てる...
寺田寅彦 「初冬の日記から」
...これを過ぐれば左に鳰(にお)の海(うみ)蒼くして漣水色縮緬(ちりめん)を延べたらんごとく...
寺田寅彦 「東上記」
...漣(さざなみ)をただよわせると見れば...
中里介山 「大菩薩峠」
...「どこまでこの影が己(おれ)の身体(からだ)に付いて回るだろう」健三の胸は好奇心の刺戟(しげき)に促されるよりもむしろ不安の漣(さざなみ)に揺れた...
夏目漱石 「道草」
...かすかな漣(さざなみ)を立てている濠...
火野葦平 「花と龍」
...自分の身体中で冷たく漣(さざなみ)立てて疼(うず)くのだ...
正岡容 「寄席」
...口を利かない先から人はこだわりのない社交性の愛素よい漣と...
宮本百合子 「伊太利亜の古陶」
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