...その安心が逸子をして到底たゞでは出られないやうに深味へ陥れてゐるのであつた...
伊藤野枝 「惑ひ」
...その唯一のおどかしは凡(すべ)ての人に役立つ丈(だ)けの深味も強みも持つてゐません...
伊藤野枝 「妾の会つた男の人々(野依秀一、中村弧月印象録)」
...深味がない...
妹尾韶夫 「凍るアラベスク」
...深味のないお話だ...
中島敦 「光と風と夢」
...何となく深味のある男でした...
野村胡堂 「十字架観音」
...話をしている間に深味のある張(はり)をもった眼が幾度も涙でいっぱいになる...
長谷川時雨 「平塚明子(らいてう)」
...このすぐれた面(おも)ざしに一層の深味をあたえ...
久生十蘭 「キャラコさん」
...なんともいえない深味のある微笑を浮べながら...
久生十蘭 「キャラコさん」
...ゴヤが闘鶏図で造形した黒軍鶏のような深味のあるヴァリュウを見せている...
久生十蘭 「春の山」
...自然は己(おの)が為(す)べき事をさっさっとして行ってお勢は益々深味へ陥る...
二葉亭四迷 「浮雲」
...深味のある声で答えました...
ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne 三宅幾三郎訳 「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」
...深味のある色(甚(はなは)だ不完全な言い方だがそれはピカソの或る絵のような色なのだ)で塗り潰(つぶ)されていると思っていて頂きたい...
堀辰雄 「鳥料理」
...深味のある色(甚だ不完全な言ひ方だがそれはピカソの或る繪のやうな色なのだ)で塗り潰されてゐると思つて居て頂きたい...
堀辰雄 「鳥料理」
...「靜物」の深味のある生のなかに...
堀辰雄 「日付のない日記」
...一方は何の深味もなく...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...深味がおできになりましたね...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...かの女が読むと、かの女の感情が、文を生かして、わずかな辞句(じく)にも、深味が加えられ、聞く者みな、涙をながした...
吉川英治 「新書太閤記」
...剣にも等しい一脈の殺気が迫ってくるところ――どうして冴えている! 奥行の知れない深味がある...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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