...淋しい微笑が此の如き蛇の言葉の生命である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...「あゝ淋しい」を「あな淋し」と言はねば満足されぬ心には...
石川啄木 「弓町より」
...予は洋燈を相手に、八畳の座敷に一人つくねんとしてまとまった考えがあるでもなく、淋しいような、気苦しいような、又口惜(くや)しいような心持に気が沈む...
伊藤左千夫 「浜菊」
...若い支那人とあの淋しい道を歩いているのを見た人があるとかいうじゃありませんか?』『それが支那人でなくって...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「機密の魅惑」
...淋しい微笑を浮べて答えます...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「むかでの跫音」
...この鉢植をぢつと眺めてゐて三藏は淋しい心持になる...
高濱虚子 「俳諧師」
...淋しい道を――ピチャピチャ――走った...
小泉八雲 田部隆次訳 「幽霊滝の伝説」
...えらい淋しいことですな」妙子は改札口を出てお栄に別れて...
谷崎潤一郎 「細雪」
...悲しく淋しい事であつた...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...病院長の生活は淋しいものらしかった...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...妙に淋しい畑地だった...
豊島与志雄 「丘の上」
...何だか淋しいことのようにも思える...
豊島与志雄 「父母に対する私情」
...と言うよりも淋しい平凡な月日を送って来ている...
牧逸馬 「生きている戦死者」
...娘二人いなくなったのとはちがってお淋しいでしょう...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...かえってそのあと先を静かな淋しいもので包もうとしている...
柳田国男 「木綿以前の事」
...淋しい秋の一日であった...
山本周五郎 「青べか日記」
...「みなさんももう少し親切にしてあげたらと思いますわ、あの方は除(の)け者にされていると思って、淋しいので、ついあんなに気をお立てになるんですもの」「それもあるでしょうが、それにはあの女の人がもう少しなんとか」伊兵衛はぴくっとした...
山本周五郎 「雨あがる」
...いかにも此處まで道づれになつて來た友人にでも別れる樣なうら淋しい離別の心が湧く...
若山牧水 「樹木とその葉」
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