...消え入るばかりの羞恥(しゅうち)を覚えた...
有島武郎 「クララの出家」
...「校長先生のお前にゐらつしやい」消え入るやうな声でT先生が仰云(おっしゃ)ひました...
伊藤野枝 「嘘言と云ふことに就いての追想」
...消え入るような細い声で返事しました...
太宰治 「人間失格」
...消え入るような心地(ここち)になっていたのが...
近松秋江 「うつり香」
...消え入るような乏しい心地になっていた...
近松秋江 「霜凍る宵」
...私はそれを、悠然と着込んで待っていたのだが、用事(よう)のある者は、皆な、それぞれ忙しそうにしている時分に、日の射している中を、昨夜に変る、今朝の此の姿は、色男の器量を瞬く間に下げて了ったようで、音も響も耳に入らず、眼に付くものも眼に入らず、消え入るように、勢(せい)も力もなく電車に乗ったが、私は切符を買うのも気が進まなかった...
近松秋江 「別れたる妻に送る手紙」
...遠く切れ/\に消え入る唄の声を侘しがったが馴れれば苦にもならぬ...
寺田寅彦 「嵐」
...単調な悲しげな節で消え入るように長く引いて...
寺田寅彦 「竜舌蘭」
...目前(まのあたり)この猛烈な咳嗽(せき)と消え入るような呼息遣(いきづかい)とを見ていると...
夏目漱石 「道草」
...初夏の木立に消え入る余韻の美しさ...
野村胡堂 「法悦クラブ」
......
原民喜 「かげろふ断章」
...消え入るような声でこたえた...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...じつと見てゐると消え入るやうな寂しみが忍んでゐるのを多田君は感じ取つた...
北條民雄 「戯画」
...婆さま?そめ (消え入るように弱り果てた声)お晩でやす...
三好十郎 「鈴が通る」
...そこであなたが最初に聞くのは空から身を投げて砕けて落ちてくる小さい透明な数のボールが金属や石や水の面にあとかたもなく消え入る合図の言葉でせう...
三好達治 「測量船拾遺」
...消え入るごとく走りかけた...
吉川英治 「私本太平記」
...消え入るような自分であってはならないと」「ああ...
吉川英治 「私本太平記」
...消え入るような声で...
吉川英治 「治郎吉格子」
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