...俄(にはか)に波立つたと見てあれば...
芥川龍之介 「きりしとほろ上人伝」
...白く波立つ海の中から...
石川啄木 「病院の窓」
...青白い探照灯がさっと波立つ海面を照らしつけた...
海野十三 「浮かぶ飛行島」
...手と足を動かすにつれてその部分丈(だ)け波立つけれど...
江戸川乱歩 「火星の運河」
...波立つ水面とすれすれに危くも飛びつづけている...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...警察ランチ、お手伝いのモーターボート、都合四艘の快速船が、吹きつのる北風に、波立つ海を、真ッ二つに切り裂いて、四つの鋭いのこぎりの様に、勇ましく突き進んで行った...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...……曇れば波立つ行く春の海の憂欝島をばらまいて海は夏めくいちにち日向でひとりの仕事柊屋(澄太居)よい眼ざめの雀のおしやべり風は初夏の...
種田山頭火 「松山日記」
...じいっと聞いていた妻は波立つ胸をおさえ...
永井隆 「この子を残して」
...ザワザワと波立つような人の声が聞えます...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...広く波立つ入江で...
久生十蘭 「三界万霊塔」
...ほととぎす東雲時(しののめどき)の乱声(らんじやう)に湖水は白き波立つらしもこれも赤城山頂の大沼などを想像しての作であらう...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...しかし波立つてゐる大海に搖られ搖られてゐた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...真黒な絶望と限りない悲哀が波立つてゐることを...
北條民雄 「発病」
...――あの波立つ胸のただならぬ心騒ぎに...
エドガア・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「しめしあわせ」
...波立つてはうろたへ...
牧野信一 「小川の流れ」
...足に踏む砂をさえ美しく波立つようにさせる...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...解き放されたような気怠い疲労の眼で女神の顔を見ているうち沈み加減なその横顔の美しさに彼は胸が不思議に波立つのを感じた...
横光利一 「旅愁」
...波立つ胸で私はその少し前に用意して來てゐた蠅叩きを取つた...
若山牧水 「樹木とその葉」
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