...このだだ広い汚ない家の中には自分一人だけが残っているのだなとつくづく思った...
有島武郎 「星座」
...長い汚ない頭髮、垢と塵埃に縞目もわからぬ木綿の古袷、血色の惡い痩せた顏、これらは無論其「悄然」の條件の一項一項には相違ないが、たゞ之れ丈けならば、必ずしも世に類(たぐひ)のないでもない、實際自分も少からず遭遇した事もある...
石川啄木 「雲は天才である」
...汚ない話で恐れ入りますが...
梅崎春生 「ボロ家の春秋」
...どう返辭をしたものかと無愛想なお徳の顏と汚ないお若の顏とを見較べてゐた時廊下に急がしい足音が聞えたと思ふと他の女中の聲で「お徳さん...
高濱虚子 「俳諧師」
...汚ないものなんて...
太宰治 「女生徒」
...うどんひもかわと障子に書いた汚ない飲食店の角(かど)を裏通りにはいって...
田山花袋 「田舎教師」
...奥の四畳半の畳は汚ないが...
田山花袋 「田舎教師」
...遼陽占領! 遼陽占領! その声はどんなに暗い汚ない巷路(こうじ)にも...
田山花袋 「田舎教師」
...汚ない田舎町に入つて行く...
田山花袋 「父の墓」
...汚ない哄笑で終ることもある...
中里介山 「大菩薩峠」
...薄汚ない長い顔には...
中島敦 「虎狩」
...「助手さん! 寒いから汚ないでしょうけど...
林芙美子 「新版 放浪記」
...兵士が汚ない両手を突っこんで...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「流刑地で」
...わざわざ流しの汚ない四つ手が通るのを待って...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...僕等は笑ひながら一つの汚ないテイブルのまはりに坐つた...
堀辰雄 「不器用な天使」
...ガス燈に照らされた汚ない町外れの往来や...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「衣裳戸棚」
...うす汚ないじじいが...
水上滝太郎 「遺産」
...薄汚ない畳椅子(たたみいす)を左右の手に提(ひっさ)げていたが...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
便利!手書き漢字入力検索