...小屋と木立だけが空と地との間にあって汚ない斑点(しみ)だった...
有島武郎 「カインの末裔」
...渠は膝を立直して小さい汚ない机に向つた...
石川啄木 「病院の窓」
...」さう言つて汚ない疊の上に仰のけにころげてゐた芥川は「ちよつとでいいから觸らせておくれよ...
小穴隆一 「二つの繪」
...無気味な、汚ない、ああ思ってもぞっとする...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「耳香水」
...私は笑ってそれを汚ない手巾で拭いてやり...
田中英光 「箱根の山」
...遼陽占領! 遼陽占領! その声はどんなに暗い汚ない巷路(こうじ)にも...
田山花袋 「田舎教師」
...――まだしも履物を脱ぐだけは見付けものだが――おや/\汚ない足だぜ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「財布に入れて二十両、私どもには夢にも見たことのない大金でございますが、あんまり気味が悪いので、娘に持たせて家主付添いの上、お奉行所へお届けいたしました――あれ、娘がもどって参りました」女房の指す路地の外、大きな禿頭の親爺と一緒に、薄汚ない身扮に、素晴らしい若さを包んだ娘が、いそいそと帰って来るのが見えます...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...大澤傳右衞門は娘を呼んで汚ない茶碗(ちやわん)に茶をくんで出すのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...煮〆(にし)めたやうな汚ない襦袢(じゆばん)に...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...」「ごらんじゃい、まあ! あんまり乱暴におはなし遊ばすので、このお娘(こ)が、はは様のお顔を、びっくりしてごろうじる――」まったくわたしは吃驚(びっくり)して! 母などとは、きくもいまわしい、汚ない、黒いダブダブ女を(みつ)めていた...
長谷川時雨 「鬼眼鏡と鉄屑ぶとり」
...(金を置く)お蔦 汚ない金なら欲しくはない...
長谷川伸 「一本刀土俵入 二幕五場」
...自分と同じぐらゐの汚ないお婆さんが...
林芙美子 「玄關の手帖」
...押入れも何もない汚ない部屋...
林芙美子 「新版 放浪記」
...男さんの方がよっぽど汚ない...
火野葦平 「糞尿譚」
...それがまたその人の性質の汚ないのと汚なくないのと必ずしも一致して居ないから不思議だ...
正岡子規 「病牀六尺」
...ごみごみした汚ない...
山本周五郎 「桑の木物語」
...故条野採菊翁の談に「自分が一時住んだ根岸の家の二階の壁や床の間にまで白い汚ない斑点があったので家主に聞くと...
山本笑月 「明治世相百話」
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