...小さい日本建(にほんだて)の郵便局の前には若楓(わかかえで)が枝を伸(の)ばしています...
芥川龍之介 「温泉だより」
...第五章簷(ひさし)にちかい庭の若楓が青く影をうつしている廊下を前にして...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...瀧野川が楓名所にては...
大町桂月 「東京の近郊」
...梅や、楓(かえで)や、青桐やの植込みの間を飛石伝いに離屋(はなれ)の前へ立つと、「兄さんのいらっしゃるのに、この室が一等いいと思ったのよ...
相馬泰三 「田舎医師の子」
...当時の楓湖氏は今日の帝室技芸員の松本楓湖先生のことで...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...』(註)sycamore は楓樹の一種...
テニソン Tennyson 菅野徳助、奈倉次郎訳 「アーサー王物語」
...縁側の手欄(てすり)越しに庭の楓樹(かえで)の梢を眺めていた...
寺田寅彦 「小さな出来事」
...二階の縁側のガラス戸のすぐ前に大きな楓(かえで)が空いっぱいに枝を広げている...
寺田寅彦 「簔虫と蜘蛛」
...セイゲン、ヤシオなど云う血紅色(けっこうしょく)、紅褐色(こうかっしょく)の春モミジはもとより、槭(もみじ)、楓(かえで)、楢(なら)、欅(けやき)、ソロなどの新芽(しんめ)は、とり/″\に花より美しい...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...楓の幹に片手をかけてよりかかるようにしながら...
豊島与志雄 「或る女の手記」
...ここでは無雑作(むぞうさ)にその楓の木へ...
中里介山 「大菩薩峠」
...ぽつくり折れ曲つて青い枝を手洗鉢に突込んでゐた楓の生々しい姿は...
原民喜 「永遠のみどり」
...空間の境時標の上に彼のきらびやかな表象をひるがえし聖なるプラトーと帝冠を戴いたアインシュタインは生れ出た国家と斃れゆく国家の墓穴をいつでも断章で終る恋文で一ぱいになった僕等の楓の傍の石膏の並木に掘りつゞけたそしてシラー愛しきれぬ潔癖さそれからゴリキー当惑すぎるほどの...
槇村浩 「青春」
...いつ? 聖マルグリットの音楽会のときじゃなかって?」「三月経ちますね」「早いこと」楓の体をおさえて絹子も窓枠によりかかっている...
「ヴァリエテ」
...楓の間は密室なので...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...片手を延ばせばむつちりと茂つた楓の枝のさきに屆く...
若山牧水 「樹木とその葉」
...月光の下に楓の新緑の輝く光景を見ることができた...
和辻哲郎 「京の四季」
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