...どこも森閑と音を絶って...
芥川龍之介 「偸盗」
...館内は森閑として玄關には人氣がない...
寺田寅彦 「伊香保」
...広い寺の境内は森閑として...
中里介山 「大菩薩峠」
...寒い日ではあつたけれどもあまり風もなく四囲は森閑としてゐる...
林芙美子 「幸福の彼方」
...(五月×日)なまぐさい風が吹く緑が萌え立つ夜明のしらしらとした往来が石油色に光っている森閑とした五月の朝...
林芙美子 「新版 放浪記」
...神に平伏してゐるやうな森閑としたかつかうだつた...
林芙美子 「下町」
...まだ宵の口ながら森閑と鎮まりかえり...
久生十蘭 「魔都」
...すべてが森閑としてゐる...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...朧月の森閑とした屋敷道だつた...
牧野信一 「サクラの花びら」
...森閑として木下闇(このしたやみ)に枯葉を踏む自分の足音が幾度か耳を脅かした...
水上滝太郎 「山の手の子」
...国老の屋敷は森閑と鎮りかえっていた……胸に喰込むような...
山本周五郎 「夜明けの辻」
...森閑として物音一つせず...
夢野久作 「白くれない」
...沼のように森閑としたアルノ河は古雅な建物と雲とを映したまま...
横光利一 「欧洲紀行」
...あたりは森閑としてゐた...
横光利一 「悲しみの代價」
...森閑としたホールの白いテープの波の中を...
横光利一 「上海」
...森閑と静ったあたりに動くものは...
横光利一 「静安寺の碑文」
...久しぶり海の香にひたって、まずは深々と眠るまでよ」問注所の朝は、森閑として、小鳥のさえずりの中だった...
吉川英治 「私本太平記」
...度かさなる犯罪を秘めて森閑としているその家の四壁が...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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