...案に相違していやな山だったら...
石川欣一 「可愛い山」
...中へはいってみると案に相違して何もこれというほどの観ごたえのあるものがなかった...
上村松園 「余齢初旅」
...そんな莫迦なことが! 旦……旦那」と案に相違して...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...庸三は勝手元の廊下にある梯子段(はしごだん)を上り、荷物の散らかっている上がり口の三畳を突っ切って、いきなり部屋へ躍(おど)り込んでみたが、案に相違して、そこには瑠美子と北山がいるだけで、清川の姿も葉子も見えなかった...
徳田秋声 「仮装人物」
...私はお馴染になるまでにはもう五六遍も跳ねるつもりでゐたのが案に相違して顔が赤くなつたけれど「ええ」といつてそばへいつた...
中勘助 「銀の匙」
...さうしたらおちやんはさも軽蔑したらしく「びりつこけなんぞと遊ばない」といつてさつさとはひつてしまつたので案に相違してすごすご家へ帰り伯母さんにそれをいつけた...
中勘助 「銀の匙」
...ところが、案に相違して、なかなか前途から、心得のありそうな奴が飛び出して取抑えてくれそうもなし、何かこの奔馬をして、行きつまらせるところの障碍物といったようなものも容易にないのであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...彼は明日にも、『さあ、これを持って行って、鱈腹のんだり、楽しんだりしろ』ってんで、何千という大金が貰えると思っていたのに、案に相違して、ただ待てというだけで、時期の指定もしてくれないという訳なんです...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...新米の古賀氏は何の「箙」ぐらいと思っていたのに案に相違して震え上った...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...案に相違して碌(ろく)なものはやって来なかったので...
夢野久作 「暗黒公使」
...どんな問罪を受けるかと、覚悟してきて見ると、案に相違して、黄金十斤(きん)、錦二十匹を賜わった上、董卓の口から、「きのうは、病のせいか、癇癖(かんぺき)を起して、そちを罵(ののし)ったが、わしは何ものよりも、そちを力にしておるのだ...
吉川英治 「三国志」
...それまで、逃げ足立っていた敵が、案に相違して、張飛と共に、俄然攻勢に転じてきたので、要心深い劉岱は、「これは怪訝(いぶか)しい」とあわてて、味方の陣門へ引っ返そうとしたところ、時すでに遅かった...
吉川英治 「三国志」
...ところが案に相違して...
吉川英治 「三国志」
...よくよく調べてみると、案に相違して、使者は馘(くびき)られてしまったということがわかった...
吉川英治 「新書太閤記」
...案に相違していた...
吉川英治 「新・水滸伝」
...母が助太刀して取らす、負くるな」――窓口から待てという言葉だったので、武蔵は必ずや老母がこれへ来て、額(ひたい)を地にすりつけて、わが子の助命を乞うのかと思っていたところ、案に相違して、九死一生の淵にある息子を励まし、なお戦おうというつもりらしい...
吉川英治 「宮本武蔵」
...宝蔵破りの泥棒とどなった声を聞いているので、どんな兇猛な野武士かと思っていたらしいが、案に相違して、まだ十七、八の目鼻だちもよく、凛々(りり)しい青年なので、何かのこれは間違いにちがいないと、先にどなった少年の悪戯(わるさ)をむしろ憎んだほどであった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...案に相違して彼は...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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