...けれども私は、そのころすべてにだらしなくなつてゐて、ほとんど私の身にくつついてしまつたかのやうにも思はれてゐたその賢明な、怪我の少い身構への法をさへ持ち堪へることができず、謂はば手放しで、節度のない戀をした...
太宰治 「ダス・ゲマイネ」
...整理の時に大概手放してしまって...
谷崎潤一郎 「細雪」
...お宮が手放した方を取り上げて斜めに眺(なが)めていると...
近松秋江 「うつり香」
...死刑はもっとも手放しにくい鉈(なた)の一つである...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...手放しで声を立てて泣きました...
中里介山 「大菩薩峠」
...弁信を手放してしまうはずはないにきまっております...
中里介山 「大菩薩峠」
...子供たちだけを手放して...
中里介山 「大菩薩峠」
...手放しで泣き出しました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...地所も家作も手放して...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...それが――」猪之助は手放しで泣くのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...今日はこの時計を手放して...
林芙美子 「浮雲」
...現金や立派な寳石類を手放した...
エム・ケー・ガンヂー 福永渙訳 「印度の婦人へ」
...母親も道具類までも手あたり次第に手放し...
牧野信一 「裸虫抄」
...今は手放しの形であるのは尤(もっと)もといわねばならぬ...
「純粋小説論」
...かねて手放した家宝の剣が...
吉川英治 「三国志」
...戦場に立っては、鬼神(きじん)もひしぎ、家庭にあっては、平素でも、泣くことを知らないといわれている人々が、ほとんど、手放しで、慟哭(どうこく)していた...
吉川英治 「新書太閤記」
...いっそお手放しになれば...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...手放しでは降りることも出来ぬ嶮しい崖の岩坂路を幾度か折れ曲って辛うじて川原へ出た...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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