...その癖何だか小憎らしい...
泉鏡花 「薄紅梅」
...あら、憎らしいわねえ...
泉鏡花 「婦系図」
...ぼくは自分の商売が憎らしいのに決っています...
太宰治 「虚構の春」
...ははははは」主膳は憎らしい毒口を吐きかけました...
中里介山 「大菩薩峠」
...あまり喋り過ぎた時は小憎らしいほどな小坊主が...
中里介山 「大菩薩峠」
...いよいよ憎らしい...
中里介山 「大菩薩峠」
...憎らしいほど真黒く蟠(わだかま)っていた...
中里介山 「大菩薩峠」
...よくよく憎らしいものと見えて...
中里介山 「大菩薩峠」
...夜廻りの拍子木の音を聞くと、兵馬は膝を立て直し、「それはそうと、もう時刻も遅い、お暇(いとま)します、冗談はさて置いてそれをお返し下さい」真剣そのもので、福松がさいぜんから後生大事に抱え込んでいる両刀を指して促すと、福松どのは、一層深く抱え込んで、頭(かぶり)を振り、「いけません」「冗談もいいかげんにしなさい」「冗談ではございません――わたしは真剣に申し上げているんでございますよ」「では、どうしようと言うんだ」「今晩はあなたをお帰し申しません」「帰さないというて、ここは拙者の泊るところではない」「はい、あなた方のお泊りになるところではございません、あなた様にはほんとうにお羨ましいお宅がおありでいらっしゃいます、でもたまにはよろしいじゃございませんか、今晩はおいやでもこちらへお泊りあそばせな」「何を言ってるのだ」「あなたもずいぶん罪なお方ねえ」「たわごとを言わず、穏かに言っている間に、返すものをお返しなさい」「ねえ、宇津木様、わたし今晩は大へんしつっこいでしょう、わたしだって張店(はりみせ)のおばさんみたように、こんなしつっこい真似(まね)はしたくはないんですけれど、そうして上げなければあなたのおためにはならないわけがあるんですから、こうしてあげるのよ、今晩は泊っていらっしゃい」「滅相な」「あなたはそんなきまじめなお面で、うぶな御様子をなさいますけれど、本当のところは、どうしてずいぶんな罪作り――残らずこっちには種があがっていますから、それを白状なさらなければかえして上げません」「何か、拙者が後暗いことでもしていると申されるのか」「ええ、そうでございますとも、あなたという人こそ本当に見かけによらない、イヤな人です、憎らしいお方、もうすっかり種が上っていますから隠したってだめよ」「そちらに種が上っているのなら、なにも改めて拙者にたずねるには及ぶまい――どれ」兵馬は苛立(いらだ)って、もう、こうなる上は、手ごめにしても刀を奪い取って差して帰るまでのことだ――と立ちかけた時、「ア、痛ッ!」と不覚の叫びを立てたのは、相手の女ではなくてかえって自分でした...
中里介山 「大菩薩峠」
...ほんとに憎らしい猫だっちゃありゃあしない...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...もつと、美人でなくちや駄目だ……」「まア、憎らしい...
林芙美子 「浮雲」
...(四月×日)一度はきやすめ二度は嘘三度のよもやにひかされて……憎らしい私の煩悩(ぼんのう)よ...
林芙美子 「新版 放浪記」
...庄兵衛は阿古十郎が憎らしいのか...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...「憎らしいよ!」と笑を含んだ小声が耳元でするより早く...
二葉亭四迷 「平凡」
...あんなに憎らしいゼーロンではあるが...
牧野信一 「夜見の巻」
...娘さんは、帯もしめたままなので段々気がおちつき、「警察なんて人ばっかり騙(だま)してる!」そして、ひそめた声に力を入れ、「ね、一寸! どうしましょう、憎らしいわね...
宮本百合子 「刻々」
...突然わざと憎らしい事を一言(こと)いうのであった...
シュニッツレル Arthur Schnitzler 森鴎外訳 「みれん」
...そうして素(す)ッ裸体(ぱだか)のままお酒を飲んで寝ている憎らしい叔父の顔をメチャメチャに斬ってやったの……お母さんの讐敵(かたき)……って云ってね...
夢野久作 「狂人は笑う」
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