...それをまたひとりでここで見直しつつ、半ば過ぎると、目を外らして、多時(しばらく)思入った風であったが、ばさばさと引裂(ひっさ)いて、くるりと丸めてハタと向う見ずに投(ほう)り出すと、もう一ツの柱の許(もと)に、その蝙蝠傘(こうもり)に掛けてある、主税の中折帽(なかおれ)へ留まったので、「憎らしい...
泉鏡花 「婦系図」
...「スクルージさんのような、憎らしい、けちん坊で、残酷で、情を知らない人のために祝盃を上げてやるんですから...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...ほんまに憎らしい武男はんや...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...あまり喋り過ぎた時は小憎らしいほどな小坊主が...
中里介山 「大菩薩峠」
...ほんとに憎らしい猫だっちゃありゃあしない...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...あんなトボケた様子をするのが憎らしいんです...
野村胡堂 「悪魔の顔」
...やっぱり憎らしい人だったね」と前の讃美とおなじように連発された...
長谷川時雨 「松井須磨子」
...四月×日一度はきやすめ二度は嘘三度のよもやにしかされて……憎らしい私の煩悩よ...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...庄兵衛は阿古十郎が憎らしいのか...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...「何て憎らしいんでせう!」とイングラム孃は叫んだ...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...小憎らしい程うまいと思つた...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...まあ何と憎らしいことでしょう! 駒込署の高等係は...
宮本百合子 「逆襲をもって私は戦います」
...何と感じます」「あなた方が益々憎らしい」「ふむ...
宮本百合子 「刻々」
...憎らしいと互に思う気持だけがあるとき閃きあっているのが分るという心理...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...賢そうに不動の陀羅尼(だらに)を読んで印を組んでいるようなのも憎らしいがね...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...突然わざと憎らしい事を一言(こと)いうのであった...
シュニッツレル Arthur Schnitzler 森鴎外訳 「みれん」
...確か投げ槍小六という男がついている筈」「憎らしい...
吉川英治 「剣難女難」
...負けん気ばかりは持っている」「憎らしい人たち...
吉川英治 「松のや露八」
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