...明治三十年以前の画人というものは何となく悠揚たるものがあり...
上村松園 「明治懐顧」
...一方松方総理大臣は宮中へ参内するために悠々と砂利道に馬車を駆っていた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...灰色の山高帽に双眼鏡といういでたちで全家族を引きつれて悠歩していくとあとから...
谷譲次 「踊る地平線」
...自分で断然年賀端書を廃して悠然炬燵(こたつ)にあたりながら彼の好む愚書濫読に耽(ふけ)るだけの勇気もないので...
寺田寅彦 「年賀状」
...悠々と傍へ寄ってきた...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...遠くより来る哀悠が湖水の面にひたひたと漣(さざなみ)を立てている...
豊島与志雄 「湖水と彼等」
...さして骨の折れないカヤトですから一行はあたかも遊散気取りで悠々と歩んで周囲の山巒(さんらん)のただならぬ情景に見恍(みと)れるの余裕が出ました...
中里介山 「山道」
...悠々と壇を降りました...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...癪(しやく)にさはるぢやないか」酒屋の表口へ悠々と拔ける平次の後ろから...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...天空を飛翻する鳶の如く悠々と「大車輪」の業を見せて...
牧野信一 「「或る日の運動」の続き」
...悠然と自分の席へかえってきた...
正岡容 「寄席」
...しかも悠々とやられています! 今にして...
三好十郎 「猿の図」
...腰をおろし悠々と啼いていたものは...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...「土井右衛門、名は悠二郎...
山本周五郎 「桑の木物語」
...だが悠二郎にはなんの沙汰もなかった...
山本周五郎 「桑の木物語」
...どこにこれという特徴はないが、とぼけたような眼つきや、ひどく悠くりと、おちついた歩きぶりには、隠すことのできない一種のものがあった...
山本周五郎 「夕靄の中」
...悠然として大暖炉の横にかかったカレンダーを振り返った...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...古木先生が悠然として這入って来た...
夢野久作 「冥土行進曲」
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