...恁許(かばか)り悠然した心地は渠の平生に全くない事であつた...
石川啄木 「病院の窓」
...悠然として立っているのである...
犬田卯 「沼畔小話集」
...天地悠久の感、事々無礙、念々微笑の境地...
種田山頭火 「其中日記」
...そうしてあたかも何事も起こらなかったように悠々(ゆうゆう)とその固有の雌鳥の一メートル以内の領域に泳ぎついて行った...
寺田寅彦 「あひると猿」
...私が悠々君と横寺を訪ねた時は...
徳田秋聲 「亡鏡花君を語る」
...悠遊寛歩する前代人の快感を想像する...
中里介山 「大菩薩峠」
...私はアピアの街の群集の驚嘆の中を悠々と帰った...
中島敦 「光と風と夢」
...悠々と茶の間へ帰った...
夏目漱石 「それから」
...おのれは清雅高燥の地で悠々と辞典を編纂しているという自覚で...
久生十蘭 「新西遊記」
...金沢の白雲荘ホテルで悠々自適しながら...
久生十蘭 「蝶の絵」
...口笛を吹きながら悠々と体操などをはじめるのであつた...
牧野信一 「タンタレスの春」
...そのとき悠二郎は四つになっていたが...
山本周五郎 「桑の木物語」
...悠二郎は五つのときすでに近所じゅうでのがき大将であった...
山本周五郎 「桑の木物語」
...――悠二郎がまわりの者を小突いたり...
山本周五郎 「桑の木物語」
...下屋敷へ移って四五日すると、「悠二郎、暗くなったらでかけるぞ」こう囁いて、その日初めて、夜になって屋敷をぬけ出した...
山本周五郎 「桑の木物語」
...悠然と葉巻を吹かしつつ踏ん反(ぞ)りかえっている...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...悠々と玄関脇の仏間へ上って来て...
夢野久作 「名君忠之」
...ところが、彼方の左慈の姿は矢のさきに消えて、悠々と、地上に遊んでいる白雲の如き羊の群れだけがあった...
吉川英治 「三国志」
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