...曠野の杜を飛々(とびとび)に心覚えの家数は六七軒と数えて十(とお)に足りない...
泉鏡花 「遺稿」
...唯自分一人の心覚えのためですし勉強のためでありますから...
上村松園 「座右第一品」
...心覚えに縮図させられる気にさえなった程だった...
上村松園 「土田さんの芸術」
...克彦は心覚えの壁をさぐってスイッチをおした...
江戸川乱歩 「月と手袋」
...あすこへ葬ったんだ」「お母さんの病中の心覚えを……たとえば...
橘外男 「仁王門」
...房一にはその男が近在のどこの部落の者だか心覚えがなかつた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...世間にうとい一学究の書斎のガラス戸の中からながめたこの不思議な現象のスケッチを心覚えに書きとめておこうというのである...
寺田寅彦 「ジャーナリズム雑感」
...心覚えのあたりまでやって来ると朦ろな月の光に...
豊島与志雄 「地水火風空」
...ただ今日の心覚えを...
中里介山 「大菩薩峠」
...心覚えの漁師町の方へ辿(たど)りました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...その隠し場所を書いた心覚えの書付けがあるに違いない――とね」「その通りさ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...声などに叔母さん心覚えは無かったのか」「ありませんよ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...呂昇のことを心覚えに記しておいた古いノオトを出して見た...
長谷川時雨 「豊竹呂昇」
...置場所などにも心覚えがある...
宮城道雄 「レコード夜話」
...私の心覚えのある姓名の人であった...
宮本百合子 「或日」
...その折々の心覚えを書き留めておいたのを...
柳田国男 「木綿以前の事」
...昨日吸ひたる香煙(かうえん)の芳ばしき味ひ、しきりになつかしくて堪へ難きまゝに、われにもあらず長崎の方へ踵(くびす)を返して、飛ぶが如く足を早むるに、夢うつゝに物思ひ来りし道程(みちのり)なれば、心覚え更に無し...
夢野久作 「白くれない」
...』と独言(ひとりごと)を云つて首を傾けて見たが外に何の心覚えもない...
與謝野晶子 「帰つてから」
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