...例のシナ鞄(かばん)だけはちゃんと錠(じょう)がおりて床の間のすみに片づけられていた...
有島武郎 「或る女」
...床の間を凝(じっ)と見て...
泉鏡花 「婦系図」
...床の間の柱の蔭を伝わらせて...
江戸川乱歩 「湖畔亭事件」
...床の間へとんでいって...
江戸川乱歩 「少年探偵団」
...床の間には、口の大きな花瓶の中に石竹(せきちく)の真紅な花がおびただしく挿し込まれてあった...
相馬泰三 「田舎医師の子」
...病室は南向きの六畳の間で、外にちょっとした露台のようなものが附いてい、出入り口がドーアになっており、畳敷きではあるけれども、床の間はなく、天井までも白壁になっていて、一方に押入があるのを除けば、大体洋間の感じである...
谷崎潤一郎 「細雪」
...たかが相手は一人の娼婦に過ぎないのに、もう二度と行かないの何のと云うむずかしい決心をして、それに囚(とら)われるのも馬鹿々々しいと云う風に思い直しては、結局会いに行くことになるのが常であったが、実はそんなことにも増して、妻が出かけて行ったあとの邸の中のガランとした感じ、―――障子や、襖(ふすま)や、床の間の飾りや、庭の立ち木や、そう云うものが有るがままにありながら、俄(にわ)かに家庭が空虚にされてしまったようなうら淋しさ、―――それが何より堪え難かった...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...乱雑に床の間に積み重なっている書物を引っくらかえしてストリンドベルグの小説を抜き出して来て開いてみた...
徳田秋声 「仮装人物」
...四畳半の床の間には...
徳田秋声 「仮装人物」
...床の間にはやはり呉竹の軸が掛っており...
豊島与志雄 「都会の幽気」
...床の間には重豪の編輯(へんしゅう)した「成形図説」の入った大きい木の函があったし...
直木三十五 「南国太平記」
...床の間の方の気配をうかがっていた...
直木三十五 「南国太平記」
...行燈を持って床の間へ近づいた...
直木三十五 「南国太平記」
...誰かこの槍を頂戴して床の間へ飾れ」擬(まが)いの神尾主膳に附添いの者共はみな集まって来たし...
中里介山 「大菩薩峠」
...床の間に置いた帙入(ちついり)の千字文と庭訓往來(ていきんわうらい)は...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...床の間に据ゑた品々を...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...いきなり床の間の刀掛けの大刀をわし掴みにすると...
正岡容 「寄席」
...しかたなしに男は床の間の香爐の蓋(ふた)をあけようとすると...
室生犀星 「香爐を盗む」
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