...するとお前その支那人(チャン)を介抱して送り届けて帰りしなに...
泉鏡花 「海城発電」
...徳利を持って出た帰りしなに...
伊藤左千夫 「春の潮」
...吉兵エさんも帰りしなには...
伊藤左千夫 「姪子」
...帰りしなに、腰の白扇をぬいて汚せといった...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...帰りしなに握手をした...
太宰治 「彼は昔の彼ならず」
...で、ようよう二時過ぎに順番が廻って来、雪子から先にやらせて、幸子が済んだのは四時五十分頃であったが、帰りしなに、蒔岡さんと云うお方にお電話でございます、と云われて出て見ると、中姉(なかあん)ちゃん、まだかいな、もう五時になるやないの、と、妙子がさすがに気を揉(も)んでホテルから懸けて来たのであった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...――帰りしなに光子さんは私の足袋穿(は)いて行きなさったのんです...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...フェルフィーチキンは帰りしなに...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...思い出すことといってはただ、酒を飲むに随って、彼の額が益々蒼白く澄んでゆくような感じだったのと、帰りしなに、母へ眼病の妙薬とかいう薬草を置いていったのと、虫眼鏡で私と暫く遊んでくれたのだけである...
豊島与志雄 「黒点」
...ベッキイは帰りしなに振り返って...
フランセス・ホッヂソン・バァネット Frances Hodgeson Burnett 菊池寛訳 「小公女」
...帰りしなに乗合自動車はもうないだらうかときゝました...
林芙美子 「蛙」
...あとで八百屋に聞くと、十二文という大根を姫言葉でまくしたてて二文負けさせ、帰りしなに、棚にあるオロヌキを、ひょいと一とつまみ取って帰ったということである...
久生十蘭 「奥の海」
...帰りしなによって行こうかと思ったらあのいやな人ったらわざわざ土間に下りて見てるんですもの駄目だったのよ...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...そして、帰りしな、仕立物の風呂敷を抱えて立ち上ると、片手を祖母ちゃんの、時には乙女の腺病質らしい鳩胸の前へさしつけ、「おかず買ってかえるから二十銭おくれ」お石は睫一つ動かさずぴったり顔を見据えてそう云うのであった...
「小祝の一家」
...帰りしなに、お世辞のように黒瀬はそういったが、ぼくはうれしがる気にもなれなかった...
山川方夫 「お守り」
...それからその翌(あく)る日、帰りしなに、コッソリ公会堂に立寄って、内部の様子を一眼見ると、その朝の連絡船で東京に引返して、釜山署の報告はインチキに相違なしという復命をした……ヘエッ……こいつは驚いた...
夢野久作 「爆弾太平記」
...今日もこれから帰りしなに...
レスコーフ Nikolai Semyonovich Leskov 神西清訳 「かもじの美術家」
...私は父と家へ帰りしな...
若松賤子 「黄金機会」
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