...岡場所のことでも...
直木三十五 「三人の相馬大作」
...岡場所は残らずお取払い...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...それは宇津木兵馬につれられて、甲州から江戸へ出たはずの金助で、「ちょッ、詰らねえな、俺たちはああして、茶屋から大見世(おおみせ)へ送られる身分というわけじゃあなし、岡場所か、銭見世(ぜにみせ)が関の山なんだけれど、それもこのごろの懐ろ工合じゃ覚束(おぼつか)ねえや、こうして吉原の真中へ入り込んで、景気のいいところを見せつけられながら、たそや行燈の数をかぞえて歩くなんぞは我ながら、あんまり気が利かな過ぎて涙が溢(こぼ)れらあ、なんとか工面はつかねえものかな」金助はこんなことを言いながら、声色屋(こわいろや)がお捻(ひね)りを貰うのを羨(うらや)んでみたり、新内語りが座敷へ呼び上げられるのを嫉(そね)んだり、たまにおいらんの通るのを見て口をあいたりしながら、笠鉾(かさほこ)の間を泳いでいましたが、「おやおや、ありゃあ、たしかに見たことのあるお侍だ、俺の見た目に曇りはねえはずだが、もう一ぺん見直し……」二三間立戻って、いま箱提灯に送られて茶屋を出た、二人連れの武士体(さむらいてい)の跡を逐(お)いました...
中里介山 「大菩薩峠」
...岡場所の頽廃し切(き)った女であろうと...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...岡場所やけころへ握(にぎ)り拳(こぶし)で遊びに出かけるほどの色師(いろし)です...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「嫌かい」「嫌ぢやありませんが――ね」「岡場所のドラ猫見たいな妓(をんな)の頬ぺたを舐めるんぢやねえ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...あれほど遊び好きの男だから、岡場所や、芸妓(げいしゃ)にも、引っ掛りがあるだろう」「ヘエ――」「今度は泊って来ちゃならねえよ」「もう大丈夫で、――懐中(ふところ)には百もありませんよ、親分」「呆れた野郎だ」平次は苦笑いをして見送ります...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...御守殿お茂與といふのは一時深川の岡場所で鳴らした強(したゝ)か者で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...曾(かつ)ては岡場所を泳ぎ廻つた...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...辰巳にも岡場所にも縁の無ささうな親分は御存じないでせうが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...もはや生涯に於てあのやうな岡場所の明け暮を呼吸享楽するの日はあるまい...
正岡容 「旧東京と蝙蝠」
...泊る妓の蚊帳の向ふで櫛を替へ泊る妓の汗よけだけがつるさがり泊る妓の肌着になるとちぢこまりかんざしと櫛とを置いてスルリ寝る小待合蚊帳のつり紐ふと見かけニア人になると芸者のカレライスのめばいいんでシヨと芸者トヲ十五十二時が過ぎて待合おもしろし一誦よく岡場所の艶笑場面を賦して毫末も卑賤の感を与へないのはまことにまことに凡手ならざるものがあるではないか...
正岡容 「旧東京と蝙蝠」
...「廓(くるわ)とか岡場所などへいったことがあるか」登はちょっと口ごもった...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...いわゆる岡の岡場所と対立して...
吉川英治 「江戸三国志」
...岡場所などを通ると売女(おんな)たちが...
吉川英治 「魚紋」
...岡場所に隠(かく)し売女(ばいた)は減らないし...
吉川英治 「醤油仏」
...岡場所の灯は、人生はここにありというように盛んである...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...白粉の女の住む岡場所の路地の灯さえ消えていた...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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