...芸術の――或は直観の尊さはそこに存してゐるのである...
芥川龍之介 「続文芸的な、余りに文芸的な」
...然しその尊さの蔭には尊さそのものをも冰(こお)らせるような淋しさが潜んでいる...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...えも云はれぬ懐かしさと尊さに胸を一杯にし乍ら此白門に向つて歩を進めた...
石川啄木 「葬列」
...その尊さに、その晩ばかりはちっとの酒で宵寝をした、叔父の夜具の裾を叩いて、枕許(まくらもと)へ水を置き、(女中、そこいらへ見物に、)と言った心は、穴を圧(おさ)えて、宗山を退治る料簡(りょうけん)...
泉鏡花 「歌行燈」
...この瑜瑕(ゆか)並び蔽(おお)わない特有の個性のありのままを少しも飾らずに暴露(ぶちま)けた処に椿岳の画の尊さがある...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...いかなる本尊(ほんぞん)さまがあるのかを知らねば駄目だ」「本尊さまって?」「端的(たんてき)に云えば...
海野十三 「三人の双生児」
...いまさらのように仏縁の尊さをしみじみと思うのであります...
相馬愛蔵、相馬黒光 「一商人として」
...規律の尊さが身にしみてきたのであらう...
種田山頭火 「其中日記」
...田崎は主命(しゅめい)の尊さ...
永井荷風 「狐」
...人もまた同じ、青春の美しさ、あなたのような青年の美しさ、潔さ、尊さ、昔から幾千幾万の画家が、彫刻家が、文学者が、また音楽家が、青春男女の美をうたったことでしょう!性に伴う青春の美しさは何ものに由来するでしょうか? 唯物論を奉ずる生物学者は、異性をひきつけるためだと言います...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...果実と山人との間の天然の親しみの不可分な妙境の尊さででもあった...
中島哀浪 「かき・みかん・かに」
...どこかこの世ならぬ尊ささえ感じられる...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...奥まつたところの本尊さまのまへに行きました...
新美南吉 「百姓の足、坊さんの足」
...仲の好(い)い佐(さ)の市(いち)さんとお祷りに来た道尊さんにお願いして私はちょっと抜け出して来ました」お浜は語り終って吐息を吐(つ)きました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...仲の好い佐の市さんとお祷りに來た道尊さんにお願ひして私は一寸拔け出して來ました」お濱は語り終つて吐息(といき)を吐(つ)きました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...生きる尊さに目が開かれた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「煉獄」
...これも祭の夜に神の尊さを...
柳田国男 「年中行事覚書」
...あの土くさい田舎に自分を待つといってくれた人の清純な尊さがわかって来て...
吉川英治 「宮本武蔵」
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