...僕が家庭を離れたく思った一半(いっぱん)の理由は、実はこれなのだ...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...事実はもうあの青年に見きりを付け...
谷崎潤一郎 「細雪」
...これまで歴史的事実を記述したものと考えられていた古書が実はそうでない...
津田左右吉 「建国の事情と万世一系の思想」
...実は兄が弟に種を授けたのである...
徳富蘇峰 「弟を葬る」
...歴史的事実は又その限り個性的な規定を受けていなければならない...
戸坂潤 「科学方法論」
...夫が実は哲学や又科学の「方法」ではなくて...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...実は、俺の方でも、お前に話したいことがあるんだよ...
豊島与志雄 「或る日の対話」
...実は昔の水戸黄門様みたいなお方に違いないと言い出すものがあると...
中里介山 「大菩薩峠」
...実は、娘がな、あの持余し者が上方見物に出かけている、そのあとを追いかけるわけではないが、わしも一度、西国を廻って来たいとは心がけていたのだが、ついどうしても出かけられないでこれまで来ている...
中里介山 「大菩薩峠」
...「実はその事を今日貴方の方へ云ひに上らうと思つてゐたのでした...
長與善郎 「青銅の基督」
...「実は八五郎親分」竹斎は続けました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...実は奥さんのお話を聞いて新聞だねにするつもりだったのですが...
平林初之輔 「或る探訪記者の話」
...その実は門人建部賢弘から始まったらしいのであるが...
三上義夫 「和算の社会的・芸術的特性について」
...尻押というものが実はあった...
柳田国男 「雪国の春」
...実は観世物式の興行...
山本笑月 「明治世相百話」
...実は私は、それまで弱虫と見られていて、そんな任務の時にはいつでも後廻しにされていたので、今度も都合よく司令部の勤務に廻わされていましたから、占(し)めたと思って内心喜んでいたのですが、思いもかけぬ因縁に引かされて、自分から進んで行くようなことになりましたので……というのは、こんな訳です...
夢野久作 「死後の恋」
...実は私は御(ご)返事申し上ぐるさへ能はぬばかりに船暈(せんうん)を覚え居(を)りしに候(さふら)へば...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...道徳的には潔癖であるとさえ思い習わしていた自分が、汚穢に充ちた泥溝の内に晏如としてあった、という事実は、自分の人格に対する信頼を根本から揺り動かした...
和辻哲郎 「転向」
便利!手書き漢字入力検索