...森蔭はまだ夏緑(なつみどり)、夕まぐれ、空より落ちて、笛の音(ね)は山鳩よばひ、「夏」の歌「秋」を搖(そゝ)りぬ...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...今こそ時は西山(せいざん)に入日傾く夕まぐれ...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...かぐはしき夕まぐれ...
アルテュル・ランボオ 上田敏訳 「醉ひどれ船」
...靜かに瞑(ねむ)る夕まぐれ...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...何時(いつ)しか秋風の哀れを送る夕まぐれ...
高山樗牛 「瀧口入道」
...時しも頃は夕まぐれ...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「妻」
...「入りごみに諏訪(すわ)の涌湯(わきゆ)の夕まぐれ」「中にもせいの高い山ぶし」は全くこの手法によったものである...
寺田寅彦 「映画芸術」
...春は吉野のあさぼらけこむる霞のくれなゐも遠目は紛ふ花の峯夏はラインの夕まぐれ流は遠く水清く映るも岸の深みどり汨羅の淵のさゞれなみ巫山の雲は消えぬれど猶搖落の秋の聲潮も氷る北洋の巖を照らすくれなゐは光しづまぬ夜半の日か...
土井晩翠 「天地有情」
...恨みを吹くや年ごとの瑞鳳山の春の風をのへの霞くれなゐの色になぞらふ花ごろもとめし薫りのはかなさは何に忍びむ夕まぐれ...
土井晩翠 「天地有情」
...影ものいはじ水去りていつしか老ゆる花の面うつらふ色を眺めては思やいかに夕まぐれ...
土井晩翠 「天地有情」
...螢飛びかふ夕まぐれすゞ風そよぐ夜半の空流れ流るゝ谷川の水の響はたえねども水の行くへは替れども覺めずやあはれなが胸に燃ゆる思の夏の夢...
土井晩翠 「天地有情」
...天か股肱の命盡きて襄陽遂に守りなく玉泉山の夕まぐれ恨みは長し雲の色...
土井晩翠 「天地有情」
...春千山の花ふゞき秋落葉の雨の音誘ふて世々の夕まぐれ劫風ともに鳴りやまず...
土井晩翠 「天地有情」
...天地有情(うじやう)の夕まぐれわが驂鸞(さんらん)の夢さめて鳳樓いつか跡もなく花もにほひも夕月もうつゝは脆(もろ)き春の世や岑上(をのへ)の霞たちきりて縫へる仙女の綾ごろも袖にあらしはつらくとも「自然」の胸をゆるがして響く微妙の樂の聲その一音はこゝにあり...
土井晩翠 「天地有情」
...夕まぐれの青やかな空気のなごやかさに私たちの心も何がなしとけこんでゆくころにそれをした...
新美南吉 「花をうめる」
...さしむき熱海(あたみ)から藤沢までの天地自然の夕まぐれを...
服部之総 「望郷」
...昼席を二軒すました翌る夕まぐれ...
正岡容 「寄席」
...夕まぐれとは言え...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
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