...やはり場違いのような気がするのだ...
芥川龍之介 「上海游記」
...何だか場違いのような異様な感じがした...
梅崎春生 「狂い凧」
...やはりこの場違いの雰囲気に...
外村繁 「澪標」
...場違いのお客なんか...
豊島与志雄 「溺るるもの」
...彼の存在そのものまでが場違いなのである...
豊島与志雄 「変る」
...……あいつは場違いだ……場違いだから、人に勝手な真似をさした……場違いだから、怒れなかった……怒る気もない……こいつは、ちとおかしい……場違いとは、在るべきところに居ないということか……そんなら、なぜはいってくるんだ……何かがある……場違いにも何かがある……場違い、場違い……だが、しっかりした足つきで、のっそり出て行きやがる……強い足だ、強い歯だ……そうだ、馬革の靴だ……見ろ、馬革の頑丈な靴だ……...
豊島与志雄 「変る」
...彼の存在は聊か場違いの感じがあって...
豊島与志雄 「自由人」
...やっぱり場違いの江戸っ子だろう...
中里介山 「大菩薩峠」
...変な場違い野郎が飛出して...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...それにお艶と同じ屋根の下で暮して居るだけに、このお預けは骨身にこたえますよ、薄っぺらで、男のくせにおしゃべりで、ちょいと良い男でもありますが、近頃少し気が変になって居るんじゃ無いか――と、これは下女のお六の見立てですがね」「何んか変なことでもあるのか」「許婚(いいなずけ)の娘にこき使われて、色文の使いまでさせられるんだから、正気の沙汰じゃありませんね――もっとも親兄弟もなく、身寄も無くて、江島屋に引取られて育った人間だと言うから、腹を立てて飛出したところで、行く当ても無いことでしょう、――これがあっしなら、お艶をさらって山の中へでも逃げ込み、思う存分苦労をさしてやるが」「物騒なことを考える奴だな、お前は」「大丈夫ですよ、あっしには許婚も何んにもありゃしません」「それっ切りだったな」「もう一人、江島屋の下男の幹助(みきすけ)、あれは良い男ですね、色が赤黒くて、恐ろしく達者で、秩父山中から生捕って来た熊の子みてえな野郎ですが、無口で無愛想で、お嬢さんのお艶に白い歯も見せないのは、あの男ばかりですよ」「性分だろう」「そのくせ、あっしなんかには当りがよくて、最初から馬が合いましたよ、何んだってそんなにお嬢さんに素気なくするのかと訊くと、女の高慢なのと坊主の腰の低いのは大嫌いだって言やがる」「それじゃ、お嬢さんを綺麗だとは思わないかと訊くと、――梨でも桃でも、虫が付くと不思議に綺麗になる――って言やがる、皮肉な野郎ですね」「生れは?」「あんなのは間違いもなく信濃者ですよ」「下女のお六は」「相模女で、あんなに慾の皮の突っ張ったのは、場違いですね、あの女は三十両は溜めているに違えねえという評判ですよ」「外には?」「主人の鹿右衛門は、上へ馬という字の付く方」「何んだえそれは?」「馬鹿右衛門とね、内儀のお浅はちょっと良い大年増で、気象者で、利巧で、少し扱い憎い方でしょうな」「ところで、そのうち、誰が一体三之助殺しの下手人だと思う」平次は八五郎に訊くのではなくて、以上の報告から自分の結論を引出そうとして居る様子です...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...この人が役者である事が場違いのような気がして仕方がない...
林芙美子 「新版 放浪記」
...場違いの血を交ぜずに幾代も配合された純血族(サラブレッド)の末に...
久生十蘭 「魔都」
...私はつまり贅六の場違いや」「場違えはよかったな...
正岡容 「寄席」
...師匠菊之丞の得意は勿論(もちろん)、最初は、――何しろ上方の、それも緞帳(どんちょう)から成り上った器用役者、あざとくって、けれん沢山で見ちゃあいられねえ――とか、――ま、見たところは、美しいですが、とんと場違いで、近海の鯛(たい)に馴れた舌には、ちと頂けませんな...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...随って場違いの代物でも苦情なしに召上がるので繁昌はなにより...
山本笑月 「明治世相百話」
...二人とも明白に場違いものであつた...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...場違いのステテコだ……てんで船中の大評判になったんだそうで……おまけに二人とも……大変だ大変だ……とか何とか変な譫語(うわごと)を並べたもんですから...
夢の久作(夢野久作) 「人間腸詰」
...孤塁の兵にはなにか場違いな平和の歌の文句みたいに聞えたのかもしれなかった...
吉川英治 「私本太平記」
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