...坦々と踏みならされた道を歩いてゆく...
伊藤野枝 「転機」
...坦々(たんたん)たる広い道路(みち)でも開けておればまだしも...
高神覚昇 「般若心経講義」
...地下の南谿を今日この坦々たるコンクリート道路をバスに乗せて通らせたならば...
太宰治 「津軽」
...道はアスフアルトの一路坦々...
種田山頭火 「行乞記」
...其路坦々(たん/\)として砥(と)の如く...
田山花袋 「秋の岐蘇路」
...山下の坦々たる一と筋の新道は双子山の裾をめぐつて長いリボンを展べたやうに遠く...
近松秋江 「箱根の山々」
...その新味の少い坦々たる叙述を超えて...
豊島与志雄 「異邦人の意欲」
...陽気で、坦々として、而(しか)も己を売らないことをと、わが魂の願ふことであつた!木蔭神社の鳥居が光をうけて楡(にれ)の葉が小さく揺すれる夏の昼の青々した木蔭は私の後悔を宥(なだ)めてくれる暗い後悔 いつでも附纏ふ後悔馬鹿々々しい破笑にみちた私の過去はやがて涙つぽい晦暝(くわいめい)となりやがて根強い疲労となつたかくて今では朝から夜まで忍従することのほかに生活を持たない怨みもなく喪心したやうに空を見上げる私の眼(まなこ)――神社の鳥居が光をうけて楡の葉が小さく揺すれる夏の昼の青々した木蔭は私の後悔を宥めてくれる失せし希望暗き空へと消え行きぬわが若き日を燃えし希望は...
中原中也 「山羊の歌」
...坦々とした氣性で...
林芙美子 「あひびき」
...いつも坦々たる道路なのに...
葉山嘉樹 「氷雨」
...その全生活が坦々として油の上を辷るやうに滑らかに転してゆくといつた人物であることが頷かれた...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...目の極まる限りは坦々(たんたん)とした原野つづき...
本庄陸男 「石狩川」
...けっして坦々たる道ではなく...
ルイザ・メイ・オルコット L. M. Alcott 水谷まさる訳 「若草物語」
...坦々でなく紆餘曲折端睨すべからざる中に偉人の俤を偲ぶといふ風にするのが眞に是れ偉人を偉人として遇し...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...坦々(たんたん)たる街道とちがい...
吉川英治 「新書太閤記」
...それは至極坦々(たんたん)たる日常生活のうちのものだ...
吉川英治 「文化の日」
...道も坦々(たんたん)としていて...
吉川英治 「宮本武蔵」
...道はかならずしも常に坦々たる街道ばかりとは限らない...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
便利!手書き漢字入力検索