...和やかな額の上に分けた髮にも幾筋となく白髮が目に立つてゐた...
今井邦子 「誠心院の一夜」
...そうするとわたしの気持ちが和やかになるのである...
上村松園 「芸術三昧即信仰」
...和やかな日ざしがポカポカと背中に当って...
海野十三 「深夜の市長」
...いつも和やかな春風が吹いてゐた...
太宰治 「知らない人」
...空気の肌触(はだざわ)りの和やかさを想い浮かべた...
谷崎潤一郎 「細雪」
...今日は一昨日に倍して湖の上が一層和やかで...
近松秋江 「湖光島影」
...寧ろ前よりも和やかな友誼が還つて来たのであつた...
徳田秋聲 「和解」
...それから和やかな微笑を浮べた...
豊島与志雄 「浅間噴火口」
...ぼーっと霞んでる和やかな春の日が...
豊島与志雄 「同胞」
...不思議な和やかさを見いだした...
中井正一 「美学入門」
...家の人達の気持が和やかになつて...
新美南吉 「良寛物語 手毬と鉢の子」
...まことに適はしい和やかな雲り日続きであつた...
牧野信一 「くもり日つゞき」
...冬の訪れは小生の夢を和やかになぢませて...
牧野信一 「女優」
...静かに拭はれて行く和やかさを覚えた...
牧野信一 「ダニューヴの花嫁」
...多くの生活は、甘やかされているという言葉が、どこかに予想させる甘美さ、ゆるやかさ、和やかさ、そんなものは影もないプロザイックな明暮のまま、しかもゆるんで低下して、引き下った調子で、結果としては互に甘えて暮してしまうのね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...久しぶりの青空が、雪に映じて、明るい、和やかな光を、町々へそそいでいた...
吉川英治 「大岡越前」
...墨そのものに童顏の光りが和やかにこぼれてゐるからであらう...
吉川英治 「折々の記」
...和やかな白帆の行く川尻を眺めていた...
吉川英治 「剣難女難」
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