...心の中に吹きすさぶ感情のあらしが...
芥川龍之介 「偸盗」
...そこらが第二大隊の警備地区になっていて、左雲に大隊本部があった」栄介は海面を眺めながら、広漠とした砂漠の中を列をつくって進んで行くトラック隊や、吹きすさぶ嵐や、左雲の街の状況を想像していた...
梅崎春生 「狂い凧」
...おまけに師走なかばの空つ風の吹きすさぶ昨日今日の寒さには...
薄田泣菫 「独楽園」
...吹きすさぶ身を切るような風がしきりにおそってきた...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...アイヌに古くから伝承されているユーカラ(詞曲)の中に大風が吹きすさぶ場面がよく出てくる...
知里真志保 「アイヌ語のおもしろさ」
...吹きすさぶ暴風が通りを吹き抜け...
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー Marie Louise de la Ramee 荒木光二郎訳 「フランダースの犬」
...はげしい寒風の吹きすさぶ冬の夜のことであった...
アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ Annette von Droste=Hulshoff 番匠谷英一訳 「ユダヤ人のブナの木」
...海とも空ともつかぬあたりに天草のいさり火が吹きすさぶ凩(こがらし)に明滅する如く微かにまたゝいてゐるのであつた...
長與善郎 「青銅の基督」
...寒風の吹きすさぶ越後の冬の海のはげしさが...
新美南吉 「良寛物語 手毬と鉢の子」
...あはれにしめやかな この深夜のふけてゆく思ひに心をかたむけわたしの心は垣根にもたれて横笛を吹きすさぶああ このいろいろの物のかくされた祕密の生活かぎりなく美しい影と 不思議なすがたの重なりあふところの世界月光の中にうかびいづる羊齒(しだ)わらび 松の木の枝なめくぢ へび とかげ の不氣味な生活...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...彼は街上に吹きすさぶ吹雪の中を...
ニコライ・ゴーゴリ 平井肇訳 「外套」
...それがこの場合は年も暮れんとし木枯しの吹きすさぶ夜となつただけに哀れも一しほ深いのである...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...――また吹きすさぶ風のために山が根から崩れそうだという考えを振いおとそうと一所懸命に努めたが...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「メールストロムの旋渦」
...吹きすさぶ刃物のような白い風の中に...
山川方夫 「待っている女」
...吹きすさぶ風花(かざばな)まじりの山颪(やまおろし)の下にその晩は夜営していた...
吉川英治 「私本太平記」
...家庭即戦陣の――吹きすさぶ所のけじめない時代――を歩むにしたがい...
吉川英治 「新書太閤記」
...だが、雲の閉(と)じるとともに、それもまたたく元の闇――、修羅(しゅら)の叫喚(きょうかん)、吹きすさぶ嵐...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...吹きすさぶ雪より冷たく...
吉川英治 「源頼朝」
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