...のみならず社会的条件などはその社会的条件の中にゐる僕自身に判然とわかるかどうかも疑はない訣(わけ)には行かないであらう...
芥川龍之介 「或旧友へ送る手記」
...眞間の江や先づ引く汐に背き得ず靡く玉藻はすべなし吾君(わぎみ)いたづらに言(こと)うるはしみ何せんと君が思はむ思ひ若しも手古奈は詞には判然と言うて居れど...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...その間の境界も判然とあるごとくに思われるが...
丘浅次郎 「境界なき差別」
...蕃社内の上下の区別が判然と定り...
丘浅次郎 「人間生活の矛盾」
...判然と形をつかまえることが困難であるので...
知里真志保 「あの世の入口」
...秤(はかり)や升(ます)ではかれるように判然とわかるものだったら...
寺田寅彦 「芝刈り」
...作者の心理過程の描写の正否を判断する標準が判然としていない...
寺田寅彦 「文学の中の科学的要素」
...すでに社会科学の領域に於ては判然と意識化されたのであった(マルクスの諸ヘーゲル批判)...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...政友会(大口喜六氏)の批評はしかしモット判然としている...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...決してまだ判然としたものではない...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...それが判然と実現出来れば...
中原中也 「近時詩壇寸感」
...判然と示証することは出来ないけれども...
中原中也 「新短歌に就いて」
...実に故(ことさ)らに星を其形に並べて鏤(ちりば)めたとしか思はれぬ巨大な十字形の一星座が判然と見えるのであつた...
長與善郎 「青銅の基督」
...其所(そこ)を無理にぐいぐい考えると突然と爆発して自分が判然と分る...
「高浜虚子著『鶏頭』序」
...恋の相手を判然としないところにある...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...馬鹿が判然と分る...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...銭か物かは判然としないが...
山本周五郎 「さぶ」
...見えざるものが判然とかたちを現した...
山本周五郎 「夜明けの辻」
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