...そして、二人間に取交された約束が、唯一生忘れまいといふ事だけなのを思つて、智恵子は今夜といふ今夜、初めて切実に、それだけでは物足らぬことを感じた...
石川啄木 「鳥影」
...兎に角作つて見給へ」それから三藏は題を出して貰つて初めてやつと一句を作つた...
高濱虚子 「俳諧師」
...初めて覺(さと)る我身の罪...
高山樗牛 「瀧口入道」
...」云われて初めて気付いたが...
豊島与志雄 「特殊部落の犯罪」
...死というものに初めて直面した苦しみを...
中里介山 「大菩薩峠」
...僕が初めて伊藤公を訪問した時...
新渡戸稲造 「自警録」
...初めて大久保の新居に移った時は...
萩原朔太郎 「小泉八雲の家庭生活」
...すっかり秋風が立ち初めて...
火野葦平 「糞尿譚」
...ホテルの方で昼食してハイヤで豊川稲荷を参拝――初めてだ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...年少の日の圓朝が切磋琢磨の修業の上に自分自身を見出したことによって初めて私は...
正岡容 「小説 圓朝 あとがき」
...江戸では此蔵前の角力に初めて谷風が負けたものと伝へられたのである...
三木貞一 「初代谷風梶之助」
...私は初めてここで新米を手に受けてみて...
横光利一 「夜の靴」
...さまざまな好意が含まれていたのだと初めて悟るのだった...
横光利一 「旅愁」
...初めてすッくと立ち上がって...
吉川英治 「剣難女難」
...彼にはこの群れの中で初めて実感のものになっていた...
吉川英治 「私本太平記」
...なにも」「まったくなにも」「…………」彼女は初めてうろたえの色をあらわした...
吉川英治 「私本太平記」
...幸村どのを初めてお見かけ申したのは愚堂和尚の禅室でござったな...
吉川英治 「宮本武蔵」
...七打ちとけて、酒と話がはずんで来たので、武蔵は初めて、「お睦(むつま)じい、そしてふしぎなご会合に、折よく来合せて、拙者も共に興に入り申した...
吉川英治 「宮本武蔵」
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